Fandom CEO退任、買収と広告戦略が残した波紋

Fandom CEO、パーキンス・ミラー氏が退任

人気WikiホスティングプラットフォームFandomのCEO、パーキンス・ミラー氏が6年間の在任期間を経て退任しました。先週付けで同社を去ったことがThe Vergeの取材で明らかになり、現在は暫定的なリーダーシップ体制で運営されています。後任のCEOはまだ発表されていません。

大規模買収とそれに伴う人員削減

ミラー氏は2019年にFandomのCEOに就任後、Red VenturesからTV Guide、Metacritic、GameSpot、Giant Bombといった複数のエンターテイメントコンテンツプラットフォームを5000万ドルで買収するという大規模な取引を主導しました。当時、ミラー氏はこの買収が「ビジネス能力を拡大し、パートナー、広告主、ファンに没入型コンテンツを提供する」ことを目的としていると述べていました。

しかし、この買収は複数回にわたる編集スタッフのレイオフにもつながりました。昨年10月の全社ミーティングで、ミラー氏は企業再編と収益目標の未達をレイオフの原因として挙げています。このような大規模な人員削減は、組織の安定性や、コンテンツの品質管理、さらにはセキュリティ対策の維持にも影響を及ぼす可能性があります。

ユーザー体験を損なう広告戦略への懸念

FandomのIP特化型Wikiは人気がある一方で、攻撃的な広告の多さにより、ページのナビゲーションが困難で、不安定になることさえあると広く知られています。これはユーザー体験を著しく損なうだけでなく、悪意のある広告(マルバタイジング)のリスクを高めたり、ユーザーが意図しないコンテンツに誘導される可能性をはらんでおり、セキュリティ上の懸念も指摘されています。

2023年のDecoderエピソードでFandomのユーザー体験について問われた際、ミラー氏は「可能な限りエレガントにするために最善を尽くしているが、経済性を追求する必要がある」と述べていました。この発言は、収益性とユーザーの安全性・利便性の間でバランスを取ることの難しさを示唆しています。

ミラー氏の新たな挑戦

Fandomはまだ後任のCEOを発表していませんが、ミラー氏は高校スポーツの動画を配信するPlayOn! Sports Networkの新たなCEOに就任したことが本日発表されました。


元記事: https://www.theverge.com/entertainment/804821/fandom-ceo-perkins-miller-departure