OpenAI、国土安全保障省からのChatGPTプロンプト開示要求に直面 – デジタル捜査の新局面

連邦捜査におけるChatGPTデータの重要性

過去1年間、連邦捜査官はダークウェブ上の悪名高い児童搾取サイトの運営者を特定するのに苦慮していました。しかし、容疑者がChatGPTの使用を明かし、その応答を共有したことで、捜査は予期せぬ展開を見せました。これはデジタル捜査における重要な転換点となります。

連邦捜査令状によるChatGPTデータ要求

先週、メイン州で連邦捜査令状が公開され、国土安全保障省捜査局(HSI)がOpenAIにユーザーデータの開示を要求したことが明らかになりました。これは、法執行機関がAI生成チャットログを証拠として求めた初の事例として知られています。

令状によると、潜入捜査官がサイト管理者と通信していた際、容疑者はChatGPTの使用に言及し、その応答の一部を共有しました。容疑者が議論したプロンプトは、「シャーロック・ホームズがスタートレックのQに出会ったらどうなるか?」といった無邪気な質問から、20万語に及ぶ詩のような長文のリクエストまで多岐にわたります。特に注目されたのは、ドナルド・トランプ大統領風の誇張されたスタイルで書かれた、ヴィレッジ・ピープルの「Y.M.C.A.」に関するコミカルな詩でした。容疑者はこの内容を捜査官とのチャットセッション中にコピー&ペーストしていました。

HSIのOpenAIへの要求には、このユーザーに関する利用可能なすべての情報が含まれていました。具体的には、他のChatGPTとの会話、アカウント名、連絡先の詳細、支払い記録などです。この動きは、以前Googleのような検索エンジンに対して行われたユーザーデータ要求を彷彿とさせますが、生成AIの分野では前例のないものでした。

AIデータなしでの容疑者特定

この要求にもかかわらず、捜査官はOpenAIの記録に頼ることなく容疑者を特定しました。継続的なチャットを通じて、容疑者が軍の健康診断を受けていたこと、ドイツに7年間住んでいたこと、アフガニスタンに家族の歴史があることなど、詳細な情報が判明しました。最終的に、軍がその男性の身元を確認しました。

36歳の米軍関係者であるドリュー・ホーナーは、児童性的虐待資料(CSAM)の共謀広告で起訴されました。彼はまだ罪状認否を行っておらず、弁護士はコメントを拒否しています。児童搾取とサイバー犯罪に焦点を当てる米国移民関税執行局内のHSIは、2019年からこの事件を追跡していました。捜査官は、ホーナーが暗号化されたTorネットワーク上の15のCSAMサイトに関与しており、最大30万人のユーザーがいたと見ています。サイトの詳細は機密扱いですが、AI生成の違法資料のセクションを含む、よく組織されたセクションがあったと報じられています。

OpenAIの対応とデータプライバシーへの懸念

OpenAIの政府への実際の対応は不明ですが、当局はユーザーデータのスプレッドシートを受け取りました。この資料は、起訴内容を裏付けるのに役立つ可能性があります。OpenAIがレビューしたプロンプトは搾取に関連するものではありませんでしたが、AIプラットフォームは依然として悪用の標的となる可能性があります。

OpenAIは、昨年7月から12月の間に31,500件のCSAMコンテンツを報告し、その期間に132のユーザーアカウントに関わる71件の政府データ要求に対応したと述べています。電子フロンティア財団の弁護士ジェニファー・リンチは、令状が1人のユーザーからの2つの特定のプロンプトにのみ焦点を当てていたと指摘しました。それでも、これは法執行機関がChatGPTを証拠源として利用する傾向が高まっていることを示しており、データプライバシーに関する新たな疑問を提起しています。

リンチは、「OpenAIや他のAI企業が、ユーザーから収集するデータの量をどのように制限するかを考えることが、これまで以上に重要になっている」と付け加えました。


元記事: https://gbhackers.com/openai-faces-dhs-request-to-disclose-users-chatgpt-prompts/