若者の雇用市場からの撤退
日本ではすでにコンビニの棚に商品を補充するロボットが導入されており、アメリカでも同様の技術が導入されるのは時間の問題とされています。かつてウォルマートは棚をスキャンするロボットを断念しましたが、過去5年間で機械学習とAIが大幅に進化し、高校生が小遣い稼ぎのために行っていたような作業が、機械に取って代わられる可能性が高まっています。
実際、若者向けの仕事は減少し、多くのティーンエイジャーが労働市場から撤退しています。2000年8月には16歳から19歳のアメリカ人の52.3%が労働力人口に属していましたが、2025年8月にはわずか34.8%にまで減少しました。この背景には「テクノロジー」が大きく関わっており、この傾向は社会全体にとって好ましくない影響をもたらしています。
自動化の影:労働者から企業への富のシフト
ロボットがハンバーガーをひっくり返すことで恩恵を受けるのは、RoboBurgers.AIに投資した人々だけです。ブルッキングス研究所のハリー・J・ホルツァー上級研究員が指摘するように、自動化は「労働者から事業主へと報酬をシフトさせ、労働力の必要性を減らしてより高い利益を享受させる」ものです。顧客としては、17歳の若者が作ったものよりも明らかに優れていたり、信頼性が高かったりする製品を得られるわけではありません。価格も安くなるわけではなく、AWSの障害が発生すれば、何も手に入らない可能性すらあります。これは経済的な不均衡を拡大させる要因となります。
成人労働者との競争激化
MITの経済学者ダロン・アセモグルは、自動化は生産性をそれほど向上させず、主に低スキル労働者を排除することで所得格差を拡大させると主張しています。製造業や倉庫業の仕事が自動化によって奪われ、本来これらの職に就くはずだった成人労働者が、小売業、食品配達、新聞配達といった若者向けの分野に流入しています。2024年のアメリカの小売業労働者の平均年齢は38.7歳で、特に若年層が多いとされるアパレル小売業でも、2015年の29.3歳から33歳へと大幅に上昇しています。
ロボットによる配達とサービス業の変革
成人労働者が停滞する賃金を補い、高騰する物価に対応するために副業としてピザ配達を行う中、今度はロボットがこれらの仕事をも奪おうとしています。Uber EatsやDoorDashのようなサービスによって、運転免許を持つ17歳の若者が配達市場から締め出されただけでなく、現在ではこれらの企業がアメリカで自律型食品配達ロボットの導入を試みています。消費者として、自動運転のクーラーボックスが寿司を届けに来ることに何のメリットも感じません。現在のシステムにロボットが解決すべき問題があるわけではなく、むしろファームウェアの更新や電波状況の悪さによって配達が滞るリスクを懸念します。
若者の成長機会の喪失
同様に重要なのは、若者が人生の最も形成期において貴重な経験を失っていることです。仕事の責任をこなし、職場を渡り歩き、基本的な金融リテラシーを身につけることは、年を取るにつれて難しくなります。彼らは経験不足のまま労働市場に参入することになり、低リスクの仕事で難しい上司に対処する練習をする機会も失われます。これは将来の労働力としての準備不足につながる可能性があります。
まとめ:自動化の未来と社会への問い
棚の補充、アイスクリームの盛り付け、ハンバーガー作り、テイクアウトの配達といった仕事は、決して華々しいものではありません。しかし、これらはかつて若者に自立の第一歩を与え、予算管理や対人スキルといった貴重な教訓を教えてくれました。しかし、オンラインショッピング、自動化、デジタルメディアの波及効果により、彼らは労働市場から大きく締め出されています。若者たちは、縮小する仕事のパイを拡大する労働者プールと争うことを強いられ、自ら労働市場から撤退しています。そして今、残されたわずかな仕事さえもロボットに奪われようとしています。食料品の袋詰めですら安全ではありません。
元記事: https://www.theverge.com/report/806728/tech-left-teens-fighting-over-scraps-robots-taking-jobs
