はじめに：命を救う革新的な止血技術
2025年10月27日から29日にサンフランシスコで開催されるTechCrunch Disrupt 2025で、ベンガルールを拠点とするバイオテクノロジー企業Miraqulesが、その画期的な止血技術を披露します。同社は、出血を迅速に止めることを可能にするナノテクノロジーパウダーを開発し、スタートアップバトルフィールドのファイナリスト20社に選出されました。この技術は、緊急時や外傷治療において、命を救う重要な役割を果たす可能性を秘めています。
Miraqulesの止血ナノテクノロジーとは
Miraqulesが開発したナノテクノロジーは、血液凝固タンパク質を模倣した粉末状の物質です。このパウダーは、適用後わずか1〜2分以内に、室温で繊維状の化合物を迅速に生成し、大量の血液を素早く吸収することで出血を止めます。共同創設者兼CEOのサビール・ホサイン氏は、「これは瞬時にフィードバックが得られる製品です。出血している人に適用すれば、出血は止まります。この一連のプロセスは1〜2分以内に完了します」と述べています。
偶然から生まれた命の技術
ホサイン氏がこの技術を開発したきっかけは、彼の父親が危うく出血多量で命を落としかけた事故でした。彼は自身のビジネスを立ち上げたいと常に考えていましたが、バイオテクノロジー企業を立ち上げるとは夢にも思っていませんでした。この画期的な発見は、彼が生物医学工学の大学院生として、骨組織の成長を助ける3D構造の模倣に取り組んでいた際に、偶然にもたらされました。実験中に分解してしまった粒子を粉末状にしたところ、それが血液凝固の研究グループの課題を解決し、わずか5〜10秒で血液を凝固させる驚くべき効果を発揮したのです。
開発の道のりと今後の展望
ホサイン氏は幼なじみのムビーン・ミッダ氏と共に、この技術を研究室から実用化へと導くために尽力しました。その結果、同社はインド、米国、イスラエルを含む7カ国で11件の特許を取得しています。現在、Miraqulesの技術はインドの外傷治療センターで試験運用されており、数ヶ月以内にはインドでの規制当局の承認を得る見込みです。さらに、米国食品医薬品局（FDA）からの承認も2026年には取得できる見込みで、早期にFDAと連携し、必要な要件についてフィードバックを得てきたことが功を奏しています。
これまでの資金調達は70万ドル未満で、主に助成金によって賄われてきました。同社は来年、展開と試験プログラムを強化することを目指しており、すでにインドの10の病院チェーンとイスラエル国防軍から関心を集めています。この技術は、緊急医療現場や災害時、さらには戦場における止血処置に革命をもたらし、多くの命を救う可能性を秘めています。