Python Software Foundation、倫理的妥協を懸念し米国政府からの150万ドル助成金を拒否

Python Software Foundationが助成金を拒否

Python Software Foundation(PSF)は、多様性、公平性、包摂性(DEI)へのコミットメントを損なう資金提供条件のため、米国国立科学財団(NSF)への150万ドルの助成金提案を撤回しました。この資金は、オープンソースソフトウェアインフラストラクチャの回復力と信頼性を向上させることを目的としたNSFの「オープンソースエコシステムの安全性、セキュリティ、プライバシー」プログラムを通じて提供される予定でした。

助成金の目的と条件

PSFは2025年1月に提案書を提出し、PythonおよびPython Package Index(PyPI)のセキュリティ脆弱性に対処するための財源を確保することを望んでいました。具体的には、過去数年間プラットフォームにリスクをもたらしてきたPyPIパッケージアップロードの自動マルウェア検出ツールの開発に役立てる計画でした。このツールは、NPMやCrate.ioなどの他のオープンソースエコシステムにも移植される予定でした。

しかし、数ヶ月後、NSFは資金を承認しましたが、PSFの理事会が再考し、最終的に資金を拒否するに至った制限的な条項を課しました。具体的には、受領者は「多様性、公平性、包摂性(DEI)を推進または促進するプログラムを運営しない」ことを確認する必要がありました。この条項は、助成金による作業だけでなく、PSFのすべての活動に影響を及ぼし、違反した場合は以前に承認され送金された資金の返還を求められる可能性があり、財団に財政的リスクをもたらすものでした。

PSFのDEIへのコミットメント

PSFは、DEIがそのミッションと価値観の中心であると表明しており、したがって、提案された条件下でのNSF資金の受け入れは本質的に互換性がないと判断しました。Python Software Foundationは次のように述べています。

  • 「Python Software Foundationの使命は、Pythonプログラミング言語を促進、保護、発展させ、多様で国際的なPythonプログラマーコミュニティの成長を支援し、促進することです。」

このため、PSFの理事会は満場一致で資金の受け入れに反対票を投じ、申請を撤回するに至りました。

類似の事例と今後の呼びかけ

この決定は、2025年6月にThe Carpentriesが「Pathways to Enable Open-Source Ecosystems」(POSE)資金プログラムに申請した際にも同様のDEI関連の制限が課され、助成金を拒否した事例と類似しています。

Python Software Foundationは、財政的支援の必要性がこれまで以上に高まっていることを強調し、人々に対しPSFメンバーになること、寄付、スポンサーシップを呼びかけています。


元記事: https://www.bleepingcomputer.com/news/software/python-rejects-15m-grant-from-us-govt-fearing-ethical-compromise/