概要：米中貿易協定とレアアース規制の緩和
米ホワイトハウスは、ドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席の間で締結された貿易協定の詳細を発表しました。この発表によると、中国は昨年10月に発表したレアアース鉱物の輸出規制を一時的に停止し、米国エンドユーザーおよびそのサプライヤーに対し、レアアース、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、グラファイトの輸出に関する一般ライセンスの発行を再開するとのことです。
この措置は、2025年4月および2022年10月に中国が課したレアアース鉱物に関する規制を実質的に撤回するものとされています。
レアアースの戦略的価値と過去の緊張
レアアース鉱物は、多種多様なハイテク製品の生産に不可欠であり、現代の産業および防衛技術において極めて重要な戦略的資源です。中国は世界最大のレアアース生産国であり、その供給をコントロールする能力は、国際的な技術サプライチェーンに大きな影響を与えます。
中国政府が以前に課した規制では、外国企業は少量のレアアースを輸出する際にもライセンス申請が義務付けられていました。これに対し、トランプ政権は100%の追加関税を課すことで対抗措置を講じる構えを見せていました。
規制緩和がもたらすセキュリティ上の意味合い
今回の規制緩和は、米国が計画していた100%の追加関税を中止し、他の中国製品に対する関税も1年間停止するという決定と連動しています。この動きは、グローバルな技術サプライチェーンの安定化に寄与し、特に半導体、電気自動車、再生可能エネルギー、そして防衛産業といった国家安全保障上重要な分野におけるリスクを軽減する可能性があります。
レアアースの安定供給は、技術的自立と経済安全保障を確保する上で不可欠であり、今回の中国の決定は、米中間の貿易摩擦の緩和だけでなく、重要な鉱物資源を巡る地政学的な緊張の緩和にも繋がるものとして注目されます。