スタジオジブリなど日本の出版社、OpenAIに著作権侵害のAI学習停止を要求

日本の出版社がOpenAIに著作権保護を求める

日本の出版社を代表する業界団体が、OpenAIに対し、著作権で保護されたコンテンツを無許可でAIモデルの学習に使用することを停止するよう要請しました。この動きは、特にスタジオジブリのような著名なクリエイターの作品が、生成AIによって無断で利用されている現状への強い懸念を反映しています。

スタジオジブリ作品への影響

OpenAIの生成AI製品は、スタジオジブリの作品に大きな影響を与えています。ChatGPTの画像生成機能がリリースされて以来、ユーザーは自身の写真やペットの画像を「ジブリ風」に変換するプロンプトを多用し、これが人気トレンドとなりました。OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏自身も、X(旧Twitter)のプロフィール画像を「ジブリ化」した画像に変更したことがあります。

さらに、OpenAIの動画生成アプリ「Sora」へのアクセスが拡大するにつれて、日本のコンテンツ海外流通促進機構(CODA)は、メンバーのコンテンツを機械学習に無許可で使用しないようOpenAIに要請しました。

「許可ではなく許しを請う」OpenAIのアプローチ

OpenAIの著作権コンテンツに対するアプローチは、「許可ではなく許しを請う」というものであり、これが著作権侵害の懸念を増幅させています。この方針は、ユーザーが著作権で保護されたキャラクターや故人の有名人の写真や動画を容易に生成できる状況を生み出しました。

このアプローチに対し、任天堂や故マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の遺族など、多くの団体から苦情が寄せられています。特にSoraアプリでは、故人のディープフェイクが作成される可能性があり、倫理的・法的な問題が指摘されています。

著作権法とAI学習の法的課題

AI学習における著作権コンテンツの使用に関する米国法は、依然として不明確です。1976年以来更新されていない著作権法は、AI技術の急速な進展に対応しきれていません。最近の連邦判事の判決では、Anthropicが著作権で保護された書籍をAI学習に使用したことは違法ではないとされましたが、書籍の不正入手に対しては罰金が科されました。

しかし、CODAは、日本においては状況が異なると主張しています。CODAは、「Sora 2のように特定の著作物が複製されたり、同様に生成されたりするケースでは、機械学習プロセス中の複製行為が著作権侵害を構成する可能性がある」と述べています。日本の著作権制度では、著作物の使用には原則として事前の許可が必要であり、事後の異議申し立てによって侵害責任を回避する制度は存在しません。

宮崎駿監督のAIに対する見解

スタジオジブリの中心人物の一人である宮崎駿監督は、AIによって生成された自身の作品の解釈について直接コメントしていません。しかし、2016年にAIが生成した3Dアニメーションを見た際、彼は「生命そのものへの侮辱だと強く感じる」と述べ、強い嫌悪感を示しました。

今後の展望

この問題は、AI技術の発展と著作権保護のバランスを巡る国際的な議論の一部です。OpenAIがこれらの要請に協力するかどうか、あるいは訴訟に発展するかどうかは、今後のAIとクリエイティブ産業の関係に大きな影響を与えるでしょう。各国における著作権法の解釈と、AI技術の倫理的な利用に関する明確なガイドラインの確立が急務となっています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/11/03/studio-ghibli-and-other-japanese-publishers-want-openai-to-stop-training-on-their-work/