株主が巨額報酬を承認
テスラ社の株主は木曜日、イーロン・マスクCEOの新たな巨額報酬パッケージを承認しました。これは、同社が大きな変革期を迎える中で、物議を醸すマスク氏のリーダーシップを維持することを目的とした動きです。投票された株式の75%以上がこの提案に賛成しました。この承認により、マスク氏は自身の電気自動車会社に対する絶大な影響力を手に入れるとともに、史上最大の企業報酬を受け取ることになります。最終的な集計結果は数日中に証券取引委員会への提出書類で開示される予定です。
報酬パッケージの詳細と達成目標
昨年9月に取締役会によって提案されたこの報酬パッケージは、マスク氏に4億2300万株以上の追加株式を付与し、彼の持ち株比率を現在の15%から約25%に引き上げます。この報酬を完全に受け取るためには、マスク氏は一連の野心的なマイルストーンを達成する必要があります。これには、テスラの時価総額を現在の1.5兆ドルから10年以内に8.5兆ドルに引き上げること、100万台のロボタクシーを稼働させること、さらに1200万台の自動車を販売すること、1000万件の完全自動運転(FSD)サブスクリプションを獲得すること、そして100万台の人型ロボットを導入することが含まれます。
過去の経緯と企業統治の課題
この投票に先立ち、テスラは株主に対し、この巨額報酬を承認しなければマスク氏が他の事業に流出するリスクがあると警告していました。しかし、この報酬パッケージは、昨年デラウェア州の裁判所によって無効とされたマスク氏の以前の報酬パッケージ(500億ドル以上と評価)に続くものです。裁判所は、テスラの取締役会がマスクCEOから十分に独立していなかったと判断しました。株主は以前にも2度この報酬を承認していましたが、裁判官はその決定を覆しました。この判決を受け、マスク氏はテスラの法人本拠地をデラウェア州からテキサス州へ移転する提案を推進し、これも株主によって承認されました。ノルウェーの政府系ファンドを運用するノルゲス銀行投資運用や、アメリカ教員連盟、ニューヨーク市の複数の退職年金制度など、一部の大株主はこの報酬に反対していました。また、主要な議決権行使助言会社であるInstitutional Shareholder ServicesとGlass Lewisも、この報酬提案に反対を表明していました。
テスラの現状と将来の不確実性
新たな報酬の承認は、取締役会がテスラがAIとロボット工学のリーダーになる寸前であり、マスク氏の安定した手腕が必要であるというメッセージを押し進める中で行われました。しかし、現実にはテスラの立場はかつてないほど不安定であると指摘されています。マスク氏の政治的関与や、連邦EV税額控除の期限切れは、売上の大幅な減少につながると予想されています。マスク氏が報酬パッケージに設定されたこれらの大胆な目標を達成できるかどうかは、彼の技術へのアプローチとますます乖離しているように見えます。テスラは今年初めにオースティンで初のロボタクシーサービスを展開しましたが、マスク氏の以前の予測には及ばず、車両には依然として安全監視員が乗車しています。2020年以降の同社唯一の新製品であるサイバートラックは、消費者からの不評が広まっています。また、特に中国の自動車メーカーからの競争激化は、テスラの市場シェアを縮小させ、リソースを圧迫しています。
元記事: https://www.theverge.com/news/815892/tesla-shareholder-vote-elon-musk-pay-trillion-robot
