トランプ政権、政府ウェブサイトを政治宣伝に利用か:「急進左派民主党」攻撃バナー設置

政府ウェブサイトの政治利用疑惑

2025年10月1日、トランプ政権が連邦政府のウェブサイトに「急進左派民主党」を攻撃するバナーを設置し、政府機関のプラットフォームを政治宣伝に利用しているとの疑惑が浮上しました。この動きは、政府閉鎖の責任を民主党に転嫁し、ドナルド・トランプ大統領のキャンペーンを露骨に支援する目的があると見られています。

具体的なバナーの内容

米国農務省(USDA)のサイトに表示されたバナーには、「急進左派民主党が政府を閉鎖させた」と明記され、さらに「トランプ大統領は政府を開放し、アメリカ国民に食料、燃料、衣料を提供する人々を支援したいと明確にしている」と付け加えられていました。また、財務省のウェブサイトでは、民主党が「無謀な支出と妨害主義の名のもとに」政府を閉鎖させたと非難。ホワイトハウスのサイトでも同様に民主党を非難し、政府閉鎖が継続している期間を示すタイマーが表示されていました。

中立性を欠く行為への懸念

これらのバナーは、連邦政府の公式ウェブサイトが政治的に中立であるべきという原則に反するものであり、公共の情報源としての信頼性を損なう可能性があります。政府閉鎖は、議会が資金法案で合意に至らなかったために発生し、民主党が医療保険制度改革法(ACA)への補助金延長を求めて共和党と対立したことが背景にあります。共和党側は、下院議長のマイク・ジョンソン(共和党、ルイジアナ州)がX(旧Twitter)で民主党が政府閉鎖に「投票した」と主張するなど、一貫して民主党を非難しています。

一方で、全ての連邦機関がこのような政治的メッセージを表示していたわけではありません。国務省、教育省、連邦通信委員会(FCC)のウェブサイトでは、単に政府閉鎖のためサイトが更新されない旨を伝える中立的なバナーが掲示されており、対照的な対応が見られました。

情報セキュリティと公共の信頼

政府ウェブサイトは、国民にとって信頼できる情報源であり、そのコンテンツは正確かつ中立であることが極めて重要です。今回のような政治的メッセージの掲載は、情報セキュリティの観点からも問題視されるべきです。公式プラットフォームの政治利用は、政府機関の信頼性を低下させ、国民が政府から提供される情報の真偽を疑うきっかけとなりかねません。これは、広範な意味での情報セキュリティ、すなわち情報の完全性と信頼性に対する脅威と捉えることができます。政府のデジタル資産が、特定の政治的アジェンダのために利用されることは、そのガバナンスとセキュリティポリシーの脆弱性を示唆しているとも言えるでしょう。


元記事: https://www.theverge.com/news/790280/trump-admin-government-shutdown-banner-democrats