ロシア、AppleのFaceTimeをブロック:暗号化アプリへの規制強化の一環

ロシア、FaceTimeを遮断

2025年12月4日、ロシアはAppleのビデオ通話サービスFaceTimeをブロックしたと報じられました。これは、プライベートなコミュニケーション手段を排除しようとするロシア政府の継続的な取り組みの一環と見られています。ロシア政府は、FaceTimeが国内における犯罪行為に利用されていると主張し、今回の遮断を正当な法執行措置であるとしています。

規制の背景と理由

ロシアのメディア規制機関Roskomnadzorは、FaceTimeが「国内でのテロ攻撃の組織と実行、加害者の募集、詐欺、その他のロシア市民に対する犯罪行為」に利用されていると声明で発表しました。Appleがエンドツーエンドの暗号化を維持し、ロシア連邦保安庁(FSB)からのアクセス要請を拒否しているため、FaceTimeの通話を監視できないことが、今回の規制の大きな要因であると考えられます。

他の主要アプリへの影響

FaceTimeのブロックに先立ち、ロシアでは多くの主要なコミュニケーションアプリやソーシャルネットワークがすでに利用制限を受けています。今週だけでも、ソーシャルネットワークのSnapchatとマルチプレイヤーゲームプラットフォームのRobloxが禁止されました。これまでには、以下のアプリもブロックされています。

  • Facebook
  • Instagram
  • Twitter
  • Discord
  • LinkedIn

これらのサービスはVPNなしではアクセスできません。また、YouTubeは大幅に制限されており、TikTokは2022年以降、ロシア国内限定のフィードに切り替わっています。ViberSignalは完全に禁止され、WhatsAppTelegramでは今年初めから通話機能が制限されており、メッセージングも制限されています。

FaceTimeは、以前から広く使われていたWhatsAppやTelegramが通話制限を受けた後、ロシア国民が代替手段として利用するようになったため、政府の新たなターゲットになったと見られています。

Appleの対応とプライバシー保護

Appleは、ロシア政府によるFaceTimeのトラフィックへのアクセス要求を一貫して拒否しており、強力なエンドツーエンド暗号化の方針を堅持しています。この姿勢は、ユーザーのプライバシー保護に対するAppleの強いコミットメントを示しています。

今後の展望

FaceTimeはネットワークレベルでブロックされていると見られており、VPNを使用すれば引き続きアクセスできる可能性が高いです。モスクワの住民からは、「ユーザーが利用できません」というエラーメッセージが表示されるとの報告があり、これはFaceTime通話が接続できない場合に表示される一般的なエラーです。アプリ自体は起動するため、Appleがサービスを削除したわけではありません。


元記事: https://www.macrumors.com/2025/12/04/russia-blocks-facetime/