Apple CEOのロビー活動が議会の懸念を呼ぶ
米国議会で子供向けオンライン安全性に関する重要な法案の採決が迫る中、Appleのティム・クックCEOによるロビー活動が議論の中心となっています。特に、アプリストアの規制を巡る議論は白熱しており、議員の間からは大手テクノロジー企業の影響力に対する懸念が表明されています。
App Store規制と「App Store Freedom Act」の提案
審議されている法案の中には、アプリストアレベルでの年齢確認プロトコル導入を異なるアプローチで目指す2つの法案が含まれています。しかし、最も注目を集めたのは、「App Store Freedom Act」に関する議論でした。この法案は、AppleやGoogleのような企業に対し、ユーザーが代替のアプリストアをダウンロードし、デフォルトとして設定することを強制するものです。
この法案の共同提案者であるキャット・キャマック下院議員(共和党・フロリダ州)とロリ・トラハン下院議員(民主党・マサチューセッツ州)は、保護者が子供向けの安全なアプリのみを提供するアプリストアを設置できるようにすることで、現在のアプリストアが抱える問題を解決できると主張しています。キャマック議員は、「子供たちをオンラインで保護するという悲惨な実績を持つ人々が、そのデータの責任を負い、年齢確認を行うことになるとは、まるでキツネに鶏小屋の番を頼むようなものだ」と述べ、現状の主要プラットフォームに年齢確認の責任を負わせることに強い疑問を呈しました。
ロビー活動への疑惑と公正な議論の欠如
全委員会の委員長であり、クックCEOと面会したブレット・ガスリー下院議員(共和党・ケンタッキー州)は、「App Store Freedom Act」が議論の対象となったことを認めつつも、その法案が審議対象に含まれなかったのはロビー活動の影響ではないと主張しました。しかし、トラハン議員は、クックCEOの議会訪問と、この重要な法案が議論すらされないという状況の「近接性」に対し、「かなりの疑念を抱かせる」と述べ、大手テクノロジー企業が法案の審議に影響を与えている可能性を指摘しました。
議員らは、既存の反トラスト法を執行し、GoogleやAppleが子供たちのモバイルフォンにストアを置く唯一の権利を持つ現状を打破する必要があると強調しています。
主要法案「KOSA」と「COPPA 2.0」の現状
今回審議される18の法案の中には、上院の主導法案である「Kids Online Safety Act (KOSA)」の修正版が含まれています。しかし、支持者からは、この修正版が「毒が盛られている」とされ、既存の州法、ひいては一部の消費者保護規則すら無効化する恐れがあると批判されています。
かつては比較的議論の少なかった人気の子供向けプライバシー法案、「Children and Teens’ Online Privacy Protection Act (COPPA 2.0)」もまた、KOSAと同様の広範な州法先行適用規定が追加された後、小委員会で党派的投票となりました。
これらの動向は、子供たちのオンライン安全性を確保するための立法努力が、大手テクノロジー企業のロビー活動やアプリストアの独占的な支配構造によって、複雑な政治的駆け引きに巻き込まれている現状を浮き彫りにしています。
元記事: https://www.theverge.com/policy/842993/kids-online-safety-markup-energy-commerce-tim-cook-apple
