はじめに:MITRE CWEトップ25の重要性
MITREは、毎年恒例の「共通脆弱性列挙(CWE)2025年版 最も危険なソフトウェアの脆弱性トップ25」リストを発表しました。このリストは、世界中のソフトウェア開発に影響を与える最も重大な脆弱性を特定するもので、セキュリティ専門家や開発者が防御を強化するための実用的な情報を提供します。今回の包括的な分析は、39,080件以上のCVE記録に基づいて行われています。
2025年版の主要な動向と注目すべき脆弱性
2025年のMITREリストは、脆弱性環境における顕著な変化を明らかにしています。特に注目すべきは以下の点です:
- クロスサイトスクリプティング(XSS)は、これまでと同様に最も蔓延している脆弱性として1位を維持しました。
- SQLインジェクションは1ランク上昇し2位となり、インジェクションベースの攻撃が依然として根深い脅威であることを浮き彫りにしています。
- 認証の欠如(Missing Authorization)は5ランクも上昇し4位にランクイン。これは、現代のアプリケーションにおける不十分なアクセス制御への懸念の高まりを反映しています。
また、OSコマンドインジェクション(9位)は、20件の既知の悪用済み脆弱性(KEV)エントリで最も多く、現実に最も活発に悪用されている脆弱性となっています。
根強い脅威:メモリ安全性の問題
メモリ安全性の脆弱性は、依然として大きなリスクをもたらしています。領域外書き込み(Out-of-bounds Write)、解放後使用(Use-after-free)、領域外読み込み(Out-of-bounds Read)、および様々なバッファオーバーフロータイプが、合わせてリストの大半を占めています。これらのメモリ関連の脆弱性は、攻撃者がシステムの整合性を侵害し、データの完全な窃盗を容易にする可能性があります。
認証・認可の欠陥と新たな脅威
2025年版では、認証と認可の失敗が重要性を増しています。認証の欠如に加え、重要な機能における認証の欠如(Missing Authentication for Critical Functions)が21位にランクインし、11件のKEVエントリを有しており、機密性の高い操作のセキュリティにおける重大なギャップを示唆しています。また、ユーザー制御キーによる認可バイパス(Authorization Bypass Through User-Controlled Key)が24位に初登場し、不完全な権限メカニズムを悪用する新たな攻撃ベクトルを示しています。
データからは戦略的な洞察も得られます。領域外読み込みは6位から8位に下降したものの依然として一般的であり、不適切な入力検証(Improper Input Validation)は12位から18位へと大きく順位を下げ、基本的な検証プラクティスに対する認識が向上している可能性を示唆しています。しかし、古典的なバッファオーバーフロー(Classic Buffer Overflow)やヒープベースのバッファオーバーフロー(Heap-based Buffer Overflow)といった新たな脆弱性は、メモリ安全性の課題が根強く残っていることを浮き彫りにしています。
組織への戦略的示唆
MITREは、このリストが脆弱性の削減、コスト削減、トレンド分析、悪用可能性の評価のための戦略的な指針となることを強調しています。組織はこれらの根本原因を理解することで、ターゲットを絞ったセキュリティ投資を実行し、ソフトウェア開発ライフサイクルを改善し、展開前に脆弱性のクラス全体を排除することができます。2025年版CWEトップ25は、開発者とセキュリティチームが修復作業を効果的に優先順位付けし、本番環境で悪用可能な脆弱性を生み出す可能性が最も高い弱点に対処するためにリソースを投入することを可能にします。
元記事: https://gbhackers.com/mitre-unveils-2025s-top-25-most-dangerous-software-weaknesses/
