NVIDIAのオープンソースAI戦略が加速
NVIDIAは、オープンソースAI分野における影響力を拡大するため、戦略的な買収と新たなAIモデルのリリースを同時に発表しました。この動きは、同社がAIエコシステム全体での存在感を一層強固にする狙いがあることを示しています。
高性能コンピューティングの要、SchedMDを買収
NVIDIAは、人気のあるオープンソースのワークロード管理システムSlurmの主要開発元であるSchedMDの買収を明らかにしました。Slurmは、高性能コンピューティング(HPC)およびAIアプリケーションにおいて不可欠なインフラとして広く利用されています。
- SchedMDは今後もオープンソースかつベンダーニュートラルなソフトウェアとして運営を継続します。
- NVIDIAは、10年以上にわたりSchedMDと協力関係にあり、今回の買収は生成AIの基盤技術への投資を強化するものです。
- NVIDIAは、Slurmテクノロジーへの継続的な投資と、より多くのシステムへのアクセス加速を約束しています。
新たなオープンAIモデルファミリー「Nemotron 3」を発表
さらにNVIDIAは、「Nemotron 3」と名付けられた新しいオープンAIモデルファミリーを発表しました。これらは、正確なAIエージェントを構築するための「最も効率的なオープンモデルファミリー」であるとNVIDIAは主張しています。
- Nemotron 3 Nano:特定のターゲットタスク向けの小型モデル。
- Nemotron 3 Super:マルチAIエージェントアプリケーション向けに構築されたモデル。
- Nemotron 3 Ultra:より複雑なタスクに対応するモデル。
NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンスン・フアン氏は、「オープンイノベーションはAI進歩の基盤である」と述べ、「Nemotronによって、開発者が大規模なエージェントシステムを構築するために必要な透明性と効率性を提供するオープンなプラットフォームへと高度なAIを変革している」とコメントしました。
物理AIへの注力と継続的なオープンソース貢献
NVIDIAはここ数ヶ月間、オープンソースおよびオープンAIの提供を強化する動きを見せています。最近では、自律走行研究に特化したオープン推論ビジョン言語モデル「Alpamayo-R1」を発表しました。また、同社のオープンソースである「Cosmos world models」について、開発者が物理AIを開発しやすくするためのワークフローとガイドを追加しています。
これらの活動は、NVIDIAが物理AIをGPUにとって次のフロンティアと見なしていることを反映しています。同社は、ロボット工学や自動運転車などの分野で、AIとソフトウェアの主要サプライヤーとなることを目指しています。
