メルセデス・ベンツ、MBUXサウンドドライブの提供を中止
メルセデス・ベンツは最近、運転動作と音楽を同期させるインタラクティブなオーディオ機能「MBUXサウンドドライブ」の提供を中止することを顧客に通知しました。この機能は、ブラック・アイド・ピーズのフロントマンであるウィル・アイ・アム氏との提携により、わずか1年前のCESで発表されたばかりでした。
The Vergeが入手したメールによると、MBUXサウンドドライブは2025年12月17日をもって停止されるとのことです。メルセデス・ベンツは顧客に対し、「お客様に匹敵する革新的なサービスを継続して提供できるよう取り組んでおります」と伝えています。
MBUXサウンドドライブとは
この「革新的な音楽体験」は、車のセンサーとソフトウェアを使用して音楽を運転に連動させるものでした。メルセデス・ベンツは、EV回生、加速、ステアリング、ブレーキといった通常の機能と連動するよう作曲された音楽トラックを使用。CESでの発表時、ウィル・アイ・アム氏は、この機能が車全体を「独自のオーケストラ」に変えると語っていました。
ドライバーはインフォテインメント画面からサウンドドライブを選択することでオプトインでき、車のハードウェアが「車内信号」を通じて音楽ソフトウェアと接続され、運転特性にリアルタイムで音楽が反応する仕組みでした。例えば、減速するとボーカルがフェードアウトし、加速するとベースが強調されるといった形で、音楽が運転に「反応」する、楽しくも贅沢な機能でした。
この機能は、当初30曲程度の厳選されたトラックでのみ動作しましたが、メルセデス・ベンツはこれを「オープンミュージックプラットフォーム」とし、どのミュージシャンでも運転機能に合わせた独自の音響を作成できることを目指していました。
提供終了の背景と理由
しかし、この技術のビジョンは期待通りには進まなかったようです。メルセデス・ベンツの広報担当者キャスリーン・デッカー氏は、メールでMBUXサウンドドライブの終了を認めました。
デッカー氏は、「当社のデジタル追加機能ポートフォリオに関する継続的な見直しと、さらなる戦略的発展の文脈において、MBUXサウンドドライブを非アクティブ化し、今年の終わりをもって提供を終了することを決定しました」と述べ、「この調整により、当社は提供内容を継続的に最適化し、将来を見据えたイノベーションの開発に注力することができます」と説明しました。
ウィル・アイ・アム氏が関与する技術プロジェクトの歴史
今回のMBUXサウンドドライブの終了は、ウィル・アイ・アム氏の名前が冠された技術が失敗に終わった最新の事例となります。彼のスマートホームスタートアップ「Wink」は存続に苦戦しており、過去数年間CESで不可解な存在感を示してきたことや、彼のスマートウォッチの失敗は語るまでもありません。
元記事: https://www.theverge.com/news/846367/mercedes-benz-discontinues-feature-that-syncs-music-to-driving
