データセンターが電力コストに与える影響、米民主党議員が調査

米民主党議員、データセンターの電力消費を問題視

米国の民主党議員らが、データセンターが米国の電力料金に与える影響について本格的な調査を開始しました。エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党、マサチューセッツ州)、クリス・ヴァン・ホーレン上院議員(民主党、メリーランド州)、リチャード・ブルーメンソール上院議員(民主党、コネチカット州)は、Google、Microsoft、Amazon、Meta、そして複数の主要データセンター開発業者に対し、電力使用に関する詳細な回答を求める書簡を送付しました。

この動きは、米国における電気料金の高騰が喫緊の課題となる中で行われました。米国は世界で最も多くのデータセンターを抱えており、これらの施設に対する地域住民からの反対意見も増えています。

AIブームが電力需要を加速

10年以上にわたり大きな変化がなかった電力需要が、現在、急速に増加しています。この主な要因は、生成AIブームを支える新たなデータセンターの建設にあります。議員らは、電力会社がデータセンターの需要を満たすために新たな発電所や送電線を建設する際、その費用が最終的に消費者に転嫁されていると主張しています。

  • 書簡には「アメリカの家庭が兆ドル規模のテック企業の電気料金を負担している」と明記されています。
  • さらに「データセンターのエネルギー使用が、アメリカの家庭にとってエネルギーの利用可能性と手頃な価格を犠牲にすべきではない」と強調されています。

高騰する電気料金と複雑な要因

米国の家計の電気料金は今年、全国平均で13%上昇しました。この問題には、データセンターの電力需要増加だけでなく、複数の複雑な要因が絡んでいます。

  • 老朽化した送電線や変圧器を含むインフラのアップグレードの必要性
  • 異常気象の増加
  • データセンター、国内製造業、建物の電化、交通手段の電化による需要増

データセンターの建設は、新たなインフラプロジェクトを誘発しています。例えば、Metaが建設中の大規模データセンターは、ルイジアナ州で3つの新たなガス発電所の開発を促進しています。米国エネルギー省の予測では、データセンターは国内電力使用量の4%以上を占めており、2028年までに12%に達する見込みです。AIは、より複雑なタスクを完了するためにデータセンターが必要とする電力量を増加させ、AIブームが終焉を迎えたとしても、その間に着工された新規エネルギープロジェクトの費用が他の消費者に転嫁されるリスクが指摘されています。

不透明な情報開示と今後の対応

消費者負担の正確な割合を把握することは困難です。その理由の一つに、大手テック企業が電力会社と非公開で取引を成立させていることや、地方自治体職員に情報公開を制限するNDA(秘密保持契約)への署名を求めていることが挙げられます。多くの場合、データセンター開発業者はテナントを明らかにしていません。

こうした不透明性を解消するため、3人の上院議員は各企業に対し、来年1月12日までに電力消費量、拡張計画、地域規制に関するロビー活動など、広範な質問リストに回答するよう求めています。

企業側の見解

MicrosoftとMetaは、The Vergeの取材に対しコメントを控えました。Googleと3社のデータセンター開発業者は、直ちに応答しませんでした。

Amazonの広報担当であるリサ・レヴァンドフスキー氏は、「Amazonは自社の電気料金を自ら支払っており、そうでなければデータを示すよう求める」と述べました。同氏は、Amazonが資金提供した報告書を引用し、データセンターが電力会社に生み出す収益は、施設への供給コストを上回ると主張しました。また、ローレンス・バークレー国立研究所の12月の報告書に言及し、電力需要の増加が、より多くの顧客にコストを分散させることで、平均的な小売電気料金を実際に縮小させる可能性があると指摘しました。しかし、この研究は、この傾向が大規模な非住宅顧客に利益をもたらすことを示しており、電力需要が急激に増加し続ける場合に将来も同様のパターンが続くかは「不明」であると注意を促しています。


元記事: https://www.theverge.com/news/846696/electricity-cost-ai-data-center-democrat-investigation