衝撃の合併発表:トランプ・メディアが核融合分野へ参入
2025年12月18日、ドナルド・トランプ前大統領が立ち上げたソーシャルメディア企業であるトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)が、核融合発電企業であるTAE Technologiesと60億ドル(約8,500億円)を超える全株式取引で合併すると発表しました。この動きは、AIブームが加速する中でデータセンターの電力需要が高まる中、トランプ・メディアが急成長する核融合エネルギー分野にその存在感を拡大することを目指すものです。
トランプ・メディアの現状と新たな戦略
TMTGは、前大統領が主要なソーシャルメディアプラットフォームから追放された後に立ち上げたマイクロブログプラットフォーム「Truth Social」の親会社です。昨年、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて上場を果たしました。2025年9月30日までの四半期決算では、収益が972,900ドルに対し、5,480万ドルの損失を計上しましたが、仮想通貨への投資とパートナーシップを通じて31億ドルの資産を蓄積しています。TMTGのデビン・ヌネスCEOは、TAEの買収が「アメリカのグローバルなエネルギー支配を何世代にもわたって確固たるものにする」と述べています。
核融合技術のパイオニア、TAE Technologies
南カリフォルニアに拠点を置くTAE Technologiesは、約30年近くにわたり核融合発電の実現を追求してきた企業です。同社はGoogle、Chevron Technology Ventures、New Enterpriseなどの既存投資家から総額20億ドル近くを調達しており、PitchBookによると約18億ドルの評価を受けています。TAEはこれまで様々な設計に取り組んできましたが、最新の取り組みでは、回転プラズマによって生成される磁場を利用してプラズマ自体を安定させる方法を採用しています。また、同社はライフサイエンス分野にも進出し、粒子加速器をがん放射線治療として販売しています。
核融合発電の未来と商業化への課題
両社は来年、世界初の商業規模の核融合発電所(50 MWe)の建設に着手する計画であり、将来的には350~500 MWeのプラントを増設する構想を持っています。しかし、核融合発電の道のりは依然として不透明です。現在、制御された核融合反応で消費する以上の電力を生成できた実験装置は一つしかなく、ビル・ゲイツ氏が支援するCommonwealth Fusion Systemsやサム・アルトマン氏が支援するHelionなど、他の企業も2030年代初頭の商用化を目指して競争しています。核融合が成功すれば、海水から抽出した水素同位体のみを使用し、クリーンで持続的な電力をグリッドに供給する可能性があります。
新体制と展望
合併後、デビン・ヌネス氏(TMTG CEO)とミヒャエル・ビンダーバウアー博士(TAE CEO)が共同CEOに就任する予定です。この異色の合併は、ITとエネルギーという異なる分野を融合させ、特にAI時代における電力供給という喫緊の課題に対し、新たな解決策を提示する可能性を秘めています。今後の展開が注目されます。
