音声AIで新たな出会いの形を提案
出会い系アプリの世界に新たな風を吹き込むサンフランシスコ拠点のスタートアップ「Known」が、ForerunnerやNFXを含む投資家から970万ドル(約14億円)の資金調達に成功しました。
Knownは、音声AIを活用した独自のオンボーディングシステムを通じて、ユーザーを深く理解し、より有意義な対面デートへと繋げることを目指しています。創業者であるCeleste Amadon氏とAsher Allen氏は、元々AIを使ってデートのレストラン予約をするアプリを開発していましたが、ユーザーが話すことの好きさに気づき、このアプローチにたどり着きました。
スワイプ型アプリの課題とKnownの解決策
既存のスワイプ型出会い系アプリは、ユーザーがプロフィールを詳細に記入する手間や、オンラインでのチャットが対面デートに繋がりにくいという課題を抱えています。Knownは、この課題を音声AIによるインタラクティブなオンボーディングで解決します。
- ユーザーはフォームへの入力なしに、音声AIとの会話を通じて自分自身について語ります。
- Knownのテスト段階では、このオンボーディングの平均時間は26分に達し、最長で1時間38分というユーザーもいました。
- AIは会話の流れに応じて動的に質問を生成するため、ユーザーの個性や潜在的なニーズをより深く引き出すことが可能です。
- 同社によると、この音声AIによって「書くときには修正してしまうような応答も、会話ではより人間らしく表現できる」とのことです。
高いマッチング精度とデートへの繋がり
Knownは、ユーザーの深い理解に基づいたマッチングにより、高い確率で実際のデートへと繋げています。サンフランシスコでのテスト期間中、同社の導入の80%が物理的なデートに発展したと報告されており、これはスワイプ型アプリと比較して非常に高い水準です。
マッチング後もKnownは、ユーザーがAIエージェントに相手のプロフィールについて質問できる機能を提供し、両者が「興味あり」を示すとマッチングが成立します。その後、24時間以内にデートを受け入れ、さらに24時間以内にデートの日程を決定することで、長引くチャットやゴースティングを防ぎ、迅速な対面を促します。
デート後にはAIにフィードバックを提供することで、将来のレコメンデーションがさらに洗練されていきます。また、 Knownはユーザーの好みやスケジュールに基づいたレストラン選びや空き状況の調整もサポートし、デートの準備をスムーズにします。
社会問題としての「孤独」とKnownのビジョン
Knownの共同創業者Amadon氏は、「米国の孤独の流行について何百万もの記事が書かれているが、これは我々の世代にとって最大の課題だと本当に思っている」と述べ、出会いが社会的な影響を持つと考えています。彼女は、AIを活用することで、これまで数千ドルの費用がかかっていた熟練のマッチメーカーのようなサービスを、手頃な価格で提供できると信じています。
現在、Knownはサンフランシスコでベータテストを実施しており、来年初頭に本格的なローンチを予定しています。HingeのCEOであるJustin McLeod氏の新しいアプリ「Overtone」をはじめ、AIを活用した新たな出会い系サービスが続々と登場している中、Amadon氏は競争を歓迎し、「スワイプ型モデルから脱却する時期が来たと示している」と語っています。
元記事: https://techcrunch.com/2025/12/19/known-uses-voice-ai-to-help-you-go-on-more-in-person-dates/
