大規模ゲーム化とリスクの増大:ゲーム業界の新たな戦略

進化するゲーム業界の戦略:大規模化とリスク回避

ゲーム業界は転換期を迎えており、主要パブリッシャーは開発タイトル数を減らし、代わりに大規模なゲーム開発に注力する傾向を強めています。これは、投資のリスクを軽減し、成功の確度を高めるための戦略の一環です。

その象徴的な動きとして、Ubisoftが事業再編を発表しました。同社は、オープンワールドゲームやライブサービスゲームといった得意分野に焦点を当て、開発中の6タイトルをキャンセル。これには、期待されていた『Prince of Persia: The Sands of Time Remake』も含まれています。

Ubisoftの新体制:既存IPへの集中と影響

Ubisoftは、新たな組織構造の下で、5つの「クリエイティブハウス」を設立し、特定のジャンルやフランチャイズの開発を担います。例えば、「Vantage Studios」は、『Assassin’s Creed』、『Far Cry』、『Rainbow Six』といった旗艦フランチャイズを「年間数十億ドル規模のブランド」に育成することを目指します。

この戦略は、既存の有名ブランドへの依存度を高め、新たなフランチャイズ開発のリスクを避けることを明確に示しています。実際、Ubisoftが現在開発中の新規フランチャイズはわずか4つに過ぎず、同時に3つの新規フランチャイズがキャンセルされました。これにより、複数のスタジオ閉鎖や将来的な人員削減の可能性も指摘されています。

ニューヨーク大学のゲーム教授ジョースト・ヴァン・ドゥルーネン氏は、この動きを「典型的なリスク回避戦略」と評しています。「市場が不安定な時、大手パブリッシャーは、実績のあるフランチャイズという、彼らが知っているものに回帰する。これは不確実性に対する合理的な対応だが、実質的なコストも伴う」と述べ、創造性の欠如や価格上昇の可能性を指摘しています。

EAとソニーも追随:大規模タイトルへの傾倒

Ubisoftの戦略は、他の大手ゲーム企業にも共通する傾向です。EAは、以前から『Battlefield』、『EA Sports FC』、『The Sims』といった中核フランチャイズに注力しています。『Battlefield 2042』の成功は、この大規模投資戦略の有効性を示す一例となりました。

ソニーもまた、ライブサービスゲーム大規模なシングルプレイヤー独占タイトルの二つの柱に開発リソースを集中させています。『Returnal』の開発元Housemarqueの新作『Saros』、『Spider-Man』開発元Insomniacの『Marvel’s Wolverine』、そして『The Last of Us』開発元Naughty Dogの『Intergalactic: The Heretic Prophet』など、既存の成功体験を基盤とした大規模タイトルが進行中です。

高まる市場競争と未来への課題

Ubisoftの共同創設者兼CEOであるイヴ・ギルモット氏は、AAAゲーム市場が直面する課題として、競争激化、開発コストの増大、そしてより大きな挑戦を挙げつつも、成功したゲームがもたらす「かつてないほどの経済的潜在力」を強調しています。

パブリッシャーは、大規模で知名度の高いブランドに焦点を当て、より定期的なリリースサイクルを確立することが、ビジネスの安定性につながると考えています。しかし、この戦略には、雇用の喪失や創造的なイノベーションの減少といった代償も伴います。

ブロックバスターゲームの未来は不確実ですが、より多くの『Assassin’s Creed』のようなお馴染みの顔ぶれで溢れることになるでしょう。


元記事: https://www.theverge.com/report/865219/ubisoft-reorganization-ea-playstation-big-games