はじめに:ソニー初のクリップ型オープンイヤーバッド「LinkBuds Clip」
ソニーは、革新的な「ドーナツホール」デザインで知られるLinkBudsシリーズに、初のクリップ型オープンイヤーバッド「LinkBuds Clip」を投入しました。この新モデルは、音楽やポッドキャストを楽しみながらも周囲の状況を認識できるという、同シリーズの核となるコンセプトを継承しています。
LinkBuds Clipは、耳の穴を塞がないオープン型デザインにより、屋外でのアクティビティ中や電話中に、外部の音を聞き逃すことなく周囲とのつながりを保つことを可能にします。しかし、229.99ドルという価格設定に対し、競合製品との差別化をどこまで図れているかが注目されます。
デザインと装着感:耳に馴染むスタイルとカスタマイズ性
LinkBuds Clipは、その名の通り耳のヘリックス(耳介の縁)に沿ってクリップするデザインを採用しています。小型の球状スピーカーが外耳道のすぐ外側に配置され、柔軟なバンドによって耳の外側に収まるカプセル型ハウジングに接続されています。
デザインはわずかに光沢のあるエンクロージャーと、ラベンダー、グリーン、グレイジュ(灰色がかったベージュ)、ブラックといった落ち着いたカラーパレットが特徴です。ケースカバーはブラック、グリーン、ブルー、コーラル、ラベンダーの5色から選択でき、ユーザーの好みに合わせてカスタマイズできます。装着感については、付属のシリコン製「クッション」を使用することで、より安定したフィット感が得られ、長時間の使用でも快適性が維持されると評価されています。レビューワーは「一日中着けているのを忘れるほどだった」と述べています。
サウンドパフォーマンス:オープン型ゆえの特徴と限界
オープン型イヤーバッドであるLinkBuds Clipは、重低音の迫力にはやや欠ける傾向があります。特にシリコンクッションを使用すると、スピーカーが耳の穴からわずかに離れるため、低音のパフォーマンスがさらに減少するとのことです。
リスニングモードは以下の3種類が用意されています:
- 標準モード:最も自然なサウンドバランスで、中域がクリア。
- 音声ブースト:ボーカルの存在感が増し、ポッドキャストやニュース番組に適しているものの、音楽ではやや過剰に感じられる場合がある。
- 音漏れ低減モード:高音域をカットすることで音漏れを最小限に抑えるが、音がこもり、 Dullな印象になる。
ソニーのSound Connectアプリにはプリセットと10バンドイコライザーが搭載されており、音質の調整が可能です。また、圧縮音源の音質を向上させるDSEE機能も備わっています。
際立つ通話品質:AI搭載のノイズリダクション
LinkBuds Clipの最も優れた点の一つは、その通話品質です。新しいAIノイズリダクションチップと骨伝導センサーを搭載しており、周囲の騒音からユーザーの声を分離し、クリアな音声を提供します。レビューワーがロサンゼルスの賑やかな通りで通話テストを行った際、友人からは周囲の交通騒音が抑制され、声が明瞭に聞こえたと報告されています。
ただし、オープン型デザインの特性上、ユーザー自身は通話相手の声が聞き取りにくい場面も発生する可能性があります。
価格と機能:競合に劣る点と今後の期待
229.99ドルという価格設定にもかかわらず、LinkBuds Clipにはいくつかの期待される機能が不足しています。具体的には、充電ケースのワイヤレス充電機能、ソニー独自の高音質コーデックLDAC(SBCとAACはサポート)、そしてWF-1000XM5には搭載されているオーディオシェアリング機能などが挙げられます。
操作性においても課題が見られます。タッチコントロールはタップする位置の許容範囲が狭く、特にジョギング中などでは意図した操作が難しい場合があるとのことです。一方で、バッテリー持続時間は本体のみで9時間、ケース込みで合計28時間と十分な性能を誇ります。Sound Connectアプリでは、アクティビティや場所に基づいてイヤホン機能をカスタマイズするシーンベースリスニングや、通知を読み上げる機能も提供されています。
結論:魅力的だが、価格が課題
Sony LinkBuds Clipは、クールな外観、快適な装着感、そして優れた通話品質を持つ良いイヤーバッドです。オープン型イヤーバッドのトレンドを牽引したソニーらしい製品と言えるでしょう。しかし、229.99ドルという価格は、Shokz OpenDots OneやEarFun Clipといった安価な競合製品と比較すると高価に感じられます。
レビューは、「価格が下がるかセールになるまでは、LinkBuds Clipの見た目に惚れ込んでいるのでなければ、購入を待つ方が賢明だ」と結論付けています。優れた点はあるものの、価格に見合うだけの決定的な差別化要因に欠けるというのが、現状での評価となるようです。
元記事: https://www.theverge.com/tech/866975/sony-linkbuds-clip-open-earbuds-review
