Obvious Ventures、第5号ファンドで「360度視点」のインパクト投資を強化

「360」に込められた新たな投資哲学

Twitterの共同創業者であるエヴァン・ウィリアムズ氏が共同設立したベンチャーキャピタル、Obvious Venturesが5号ファンドを組成しました。今回のファンド規模は3億6,036万360ドル。同社はこれまでにも数学的な遊び心のあるファンド規模を設定してきましたが、今回の「360」という数字は、同社の投資哲学である「地球の健康(planetary health)」「人間の健康(human health)」「経済の健康(economic health)」という3つの広範な注力分野に対する、全方位的な視点を象徴しています。

堅実な投資戦略と実績

Obvious Venturesの共同創業者兼マネージングディレクターであるジェームズ・ホアキン氏は、ファンド規模を比較的小さく保つことで、単一の投資先が将来的に耐久性のある公開企業に成長した場合に、ファンド全体をリターンできる機会を重視していると述べています。これは、かつて市場価値が140億ドルを超えたBeyond Meatのような先行事例から得られた教訓でもあります。

同社はこれまでに、複数の成功した公開市場からのエグジット実績を誇ります。具体的には、2021年にSPACを通じて上場し、現在約85億ドルの評価額を持つ衛星画像企業Planet Labsや、20億ドル以上の時価総額を維持するRecursion PharmaceuticalsへのシリーズA投資などが挙げられます。また、非公開市場で90億ドル以上の価値があるとされる人事・給与プラットフォームGustoも、IPOへの軌道に乗っていると広く見られています。

地球、人間、経済の健康を支える革新技術

Obvious Venturesは、その投資哲学に基づき、各分野で技術革新を通じて社会にポジティブな影響を与えるスタートアップに注力しています。ホアキン氏は、具体的な投資先として以下の企業を挙げています。

  • 地球の健康:Zanskar
    独自のデータとAIを活用して地熱エネルギー源を特定・活用するスタートアップ。地熱エネルギーは最も費用対効果の高い電源の一つであり、最近1億1,500万ドルのシリーズC資金調達を発表しました。ホアキン氏は、Zanskarが提供する地熱発電が、電力消費の激しいAIデータセンターを支える可能性を強調しています。
  • 人間の健康:Inceptive
    分子開発のためのAIプラットフォームを提供する企業です。共同設立者であるヤコブ・ウスコレイ氏が、生成AIのブレークスルーとなった「Attention Is All You Need」論文の主要執筆者の一人であることも注目に値します。
  • 経済の健康:Dexterity Robotics
    倉庫や工場で人間が行う「退屈で、汚く、危険な」作業を担うヒューマノイドロボットを開発しています。昨年には16.5億ドルの評価額に達しました。

今後の展望

サファイア・パートナーズの調査によると、ベンチャー企業のわずか17%しか3つ以上のファンドを組成できない中で、Obvious Venturesが5号ファンドに到達したことは、業界内での確固たる地位を確立したことを示しています。同社は今後も年間約10件の投資を行い、シードおよびシリーズAのスタートアップに対して500万ドルから1,200万ドルのチェックサイズで投資を継続していく方針です。


元記事: https://techcrunch.com/2026/01/26/obvious-ventures-lands-fund-five-with-a-360-degree-view-of-planetary-human-economic-health/