AI業界リーダー、ICEの暴力行為に懸念表明
AI業界を牽引するAnthropicとOpenAIの最高経営責任者(CEO)が、米国の移民・関税執行局(ICE)および国境警備隊による暴力行為を非難しつつも、ドナルド・トランプ大統領を称賛するという複雑な姿勢を見せました。
Anthropicのダリオ・アモデイCEOは、NBCニュースの番組でミネアポリスにおける国境警備隊の暴力に「過去数日間で見られた事柄」への懸念を表明。国内の民主的価値を守る重要性を強調し、AnthropicがICEと契約を結んでいないことを明言しました。アモデイ氏はまた、トランプ大統領が連邦捜査官による銃撃事件について独立した調査を許可することを検討している姿勢を評価しました。
一方、OpenAIのサム・アルトマンCEOは、従業員への内部Slackメッセージで、「ICEで起きていることは行き過ぎだ」と述べ、「国を愛する一部として、行き過ぎた行為に反論するのは米国民の義務だ」と強調しました。彼は「暴力的な犯罪者を強制送還することと、現在起きていることとの間には大きな違いがある」とも記しています。
トランプ氏への評価と過去の発言の対比
アモデイ氏とアルトマン氏の両CEOは、ICEの行動を非難する発言の傍らで、トランプ大統領に対する称賛の言葉も添えました。
アルトマン氏は、トランプ氏の最近の対応に勇気づけられたとし、「非常に強力なリーダー」である大統領が「この瞬間に立ち上がり、国を団結させる」ことを望むと述べました。OpenAIは「最善を尽くし、リーダーと協力して我々の価値観を推進し、必要に応じて明確に発言する」と従業員に保証しました。
しかし、アルトマン氏のこの発言は、2016年のトランプ氏の大統領選出馬時における厳しい批判と対照的です。当時アルトマン氏は自身のブログで、トランプ氏を「独裁者のように無責任」であり、「扇動的なヘイト扇動者」と評していました。
アモデイ氏もまた、トランプ政権がNvidiaによるAIチップの中国への販売を許可した決定を「非常識」だと批判し、「核兵器を北朝鮮に売るようなものだ」と例えるなど、トランプ政権の他の政策には否定的な見解を示しています。
業界からの反応と背景にあるビジネス
テック業界の従業員や「ICEout.tech」のような団体は、CEOたちに対し、ICEとの契約を解除し、公にその暴力に反対するよう求めてきました。ICEout.techの主催者は、AnthropicとOpenAIのCEOが「ICEによる殺人を非難したことを喜ばしい」と述べる一方で、Apple、Google、Microsoft、Metaといった他の大手テック企業のCEOにも同様の行動を求めています。
PR会社Haymaker Groupの創設者であり、ICEout.techの署名者の一人であるJ.J.コラオ氏は、アルトマン氏がトランプ氏を「強力なリーダー」と呼びながらICEの行動を非難することは、「両立させようとしている」と批判しました。「大統領がICEの行動に責任がないかのように振る舞っている」と指摘しています。
これらの複雑な発言の背景には、トランプ政権のAI推進政策が、OpenAIやAnthropicといった企業の爆発的な成長を後押ししたという事情があると考えられます。過去1年間でOpenAIは少なくとも400億ドルを調達し、8300億ドルの評価額でさらに1000億ドルの調達交渉を進めています。Anthropicも190億ドルを調達し、3500億ドルの評価額で250億ドルの追加調達を交渉中です。
今後の動向
両CEOが従業員が期待するすべての行動を取るかどうかはまだ不確かですが、自社の利益が懸かっていることを考慮すると、彼らの内部的あるいは穏やかな批判であっても注目に値します。テック企業と政府機関との関係、そしてAI開発の倫理的側面は、今後も重要な議論の対象となるでしょう。
元記事: https://techcrunch.com/2026/01/27/anthropic-and-openai-ceos-condemn-ice-violence-praise-trump/
