テスラ、モデルSとXの生産中止を発表 – ヒューマノイドロボットに注力へ
2025年の金融決算発表後、テスラは利益のほぼ半減と史上初の年間売上高減少という苦境を明らかにしました。この業績不振の背景には、イーロン・マスクCEOの政治的発言やAI生成コンテンツを巡る問題による顧客離れ、そして既存のモデルラインナップの少なさや陳腐化が指摘されています。今回の発表で、テスラの製品ラインナップはさらに縮小されることになります。
自動運転からロボットタクシー、そして人型ロボットへ
近年、マスクCEOの関心は、もはや自動車の製造・販売といった「地味な」事業から離れているように見受けられます。かつては自動運転技術「FSD(Full Self-Driving)」や、保有する車をロボットタクシーとして活用し収益を上げるという構想に注力していました。実際に、FSDは2月中旬以降に販売される全てのテスラ車でサブスクリプションベースに移行し、従来の「Autopilot」は廃止される予定です。
しかし、マスク氏の真の関心は、さらにその先にある人型ロボット「Optimus」に移っているようです。彼はOptimusが将来的に数十兆ドル規模の市場を創出し、テスラの時価総額に多大な影響を与えると主張しています。
Optimus開発のためのモデルSとX生産終了
テスラは2027年にもOptimusロボットの販売を開始する計画であり、その生産のための工場スペースが必要とされています。このOptimus生産への集中が、かつてのフラッグシップモデルであった「モデルS」セダンと「モデルX」SUVの生産終了という決断につながりました。
かつての革命児「モデルS」の栄光と停滞
モデルSは、テスラがゼロから開発した最初のモデルであり、当時の自動車業界に革命をもたらしました。他の自動車メーカーが内燃機関車を改造してEVを開発する中、モデルSはEV専用設計により、一充電で265マイル(約426km)という当時としては画期的な航続距離を実現しました。その加速性能と先進的なインフォテインメントシステムも高く評価され、2013年の評価でも高い評価を得ました。
しかし、ポルシェ・タイカンやルーシッド・エアといった競合他社の高性能EVが登場するにつれて、モデルSは後継モデルに刷新されることなく停滞してしまいました。同様に、SUVとミニバンの中間のような存在であったモデルXもまた、同様の「放置」状態にありました。
課題を抱えた「モデルX」の現在
モデルXは、その「ファルコンウィングドア」の開発に難航するなど、テスラが新たな製品を開発するたびに直面してきた課題の先駆けとなりました。2016年当時はユニークな存在でしたが、現在ではBYDやXiaomiのような中国の新興企業、RivianやLucidのようなアメリカの新興企業、そして電化に本格的に取り組む伝統的な自動車メーカーからも、多くの大型で豪華な電動SUVが市場に投入されています。これにより、モデルXは競争力を失い、その販売台数に影響を与えています。
実際、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、日本を含む右ハンドル市場向けのモデルXの生産は2023年に終了しています。2025年第4四半期には、モデルSとXの合計出荷台数(サイバートラックを含む)は半減し、年間では40%減少しました。
Optimus開発への懸念
モデルXやモデル3、モデルY、サイバートラックの開発が「開発地獄」に陥ったことを考慮すると、Optimusロボットの開発がスムーズに進むかどうかには疑問符が付きます。マスク氏自身も昨夜の電話会議で、ロボットがテスラの工場でまだ「有用な仕事をしていない」こと、そしてOptimusが依然として「非常に初期段階」であり「R&Dフェーズ」にあることを認めました。これは、今年中に1万台のロボットを製造するという以前の主張とは矛盾するように見えます。
元記事: https://arstechnica.com/cars/2026/01/tesla-kills-models-s-and-x-to-build-humanoid-robots-instead/
