ギニア虫病、根絶目前に迫る
地球規模でのギニア虫病(Dracunculiasis)撲滅が、歴史的な節目を迎えようとしています。カーターセンターの発表によると、2025年には全世界でわずか10件の人体感染症例が報告され、これは過去最低の数値となります。この撲滅活動が完全に成功すれば、天然痘に次いで、人類史上2番目に根絶される人獣共通感染症となる見込みです。これは長年にわたるデータ収集、分析、そして戦略的な公衆衛生プログラムの成果が明確に現れていることを示しています。
ギニア虫病とは
ギニア虫(Dracunculus medinensis)は、寄生性の線虫であり、小型甲殻類(ケンミジンコ)が生息する汚染された水を介して感染します。感染者が汚染水を摂取すると、寄生虫は消化管を突き破って体内で成長し、約1年後に、通常は足や脚の痛みを伴う水ぶくれから、スパゲッティほどの長さの成虫が出現します。この激しい痛みはドラクンクルス症として知られ、二次感染や敗血症などの合併症を引き起こし、一時的または永続的な身体障害につながる可能性があります。感染者が痛みを和らげるために患部を水に入れると、寄生虫がさらに多くの幼虫を放出し、感染サイクルが継続するという悪循環が生じます。
撲滅プログラムの軌跡と現状
ギニア虫病撲滅プログラムは1986年に開始され、当初はアフリカとアジアの21カ国で約350万件もの症例が報告されていました。それから数十年にわたる集中的な努力の結果、現在では、世界保健機関(WHO)によってギニア虫病の撲滅が認定されていない国はわずか6カ国にまで減少しています。2024年には15件の症例が報告されましたが、2025年の暫定集計ではわずか10件にまで減少しており、撲滅への最終段階に入っていることを示唆しています。
2025年の10件の症例は、チャド(4件)、エチオピア(4件)、南スーダン(2件)の3カ国で確認されました。しかし、撲滅を完全に達成するためには、動物の症例(犬や猫など)も根絶する必要があります。2025年には、チャド(147件)、マリ(17件)、カメルーン(445件)、アンゴラ(70件)、エチオピア(1件)、南スーダン(3件)で動物の症例が検出されており、これがギニア虫病撲滅の最後の大きな壁となっています。
継続される撲滅戦略
この撲滅プログラムは、症例報告者への報奨金制度を導入しており、報告された症例は直ちに調査され、感染経路の特定と防止策が講じられます。また、傷の手当てや安全な飲料水に関する公衆衛生教育、水の煮沸やろ過、水源への殺幼虫剤処理といった包括的な対策が実施されています。これらの継続的な努力により、1986年以来、このプログラムによって推定1億件もの症例が予防されたと考えられています。
カーターセンター・ギニア虫撲滅プログラムのディレクターであるアダム・ワイス氏は、「ギニア虫は個人だけでなく、その家族や地域社会にも甚大な苦痛をもたらします。私たちは一人一人の患者を知っており、予防可能な病気でありながら苦しんでいる人々がいます。これを完全に根絶する稀な機会を得ており、今年の進捗に勇気づけられていますが、受け入れられる数字はゼロのみです。この仕事を完遂するという私たちのコミットメントは揺るぎません」と述べています。
