NASA、アルテミスII月探査ミッション打ち上げに向けた最終テストに着手

概要:アルテミスIIの最終リハーサル

NASAは、人類を50年以上ぶりに月へ送る「アルテミスII」ミッションの打ち上げに先立ち、ケネディ宇宙センターで最終リハーサル(ウェットドレスリハーサル、WDR)を実施しています。このテストでは、ロケットへの70万ガロン以上の極低温推進剤の搭載がシミュレートされ、打ち上げチームが実際のカウントダウン手順を最終確認します。

ミッションの打ち上げ責任者であるチャーリー・ブラックウェル=トンプソン氏は、推進剤の搭載を意味する「ウェット」ドレスリハーサルを、すべての準備状況を確認するための「最高のリスク低減テスト」と位置付けています。当初、フロリダ中央部の異常な低温を避けるため2日間延期されましたが、これは打ち上げ日により近い現実的な条件でリハーサルを実施するためでした。

ウェットドレスリハーサルの詳細と技術的課題

今回のシミュレーションカウントダウンでは宇宙飛行士は搭乗しませんが、実際の打ち上げ日の雰囲気を再現します。もしテストが成功し、カウントダウンがスムーズに進めば、アルテミスIIは早ければ2月8日にも打ち上げられる可能性があります。しかし、もし問題が発生した場合、今月中の打ち上げ機会を失う可能性もあります。

過去の「アルテミスI」ミッションのリハーサルでは、液体水素の漏洩が頻繁に発生し、燃料搭載に4回もの試行を要しました。液体水素は極めて燃えやすく、極低温(摂氏マイナス253度)での維持が不可欠であり、シール材の変形による漏洩など、その取り扱いは技術的に非常に困難です。

しかし、NASAのエンジニアは「より穏やかな」燃料搭載手順を開発し、アルテミスIミッションの成功に繋げました。ブラックウェル=トンプソン氏は、この問題は「解決済み」であり、アルテミスIでの経験がアルテミスIIの燃料搭載手順に完全に組み込まれていると述べています。

アルテミスIIの打ち上げシーケンスと他ミッションへの影響

アルテミスIIでは、宇宙飛行士が燃料搭載後にオリオン宇宙船に搭乗するため、打ち上げカウントダウンシーケンスに変更が加えられます。リハーサルでは、宇宙飛行士が搭乗するタイミングで一時停止が設けられ、これはすでに長時間のカウントダウンにさらなる時間を追加します。

カウントダウンは、燃料搭載、オリオン宇宙船ハッチの閉鎖、そして最終的な10分間のカウントダウンへと進み、Tマイナス90秒で最大3分間の一時停止、さらにTマイナス33秒で自動アボート(中止)命令が下される模擬テストを含みます。その後、Tマイナス10分にカウントダウンをリセットし、打ち上げチームが緊急停止からの回復と再打ち上げをリハーサルする機会も設けられます。

また、アルテミスIIのスケジュールは、国際宇宙ステーション(ISS)へ次期長期滞在クルーを運ぶSpaceX Crew Dragonミッション(Crew-12)の打ち上げスケジュールにも影響を与えています。NASAは、緊急時の救助要員や通信衛星といったリソースが両ミッションで共有されるため、アルテミスIIを優先する方針です。アルテミスIIが予定通り打ち上げられた場合、Crew-12はアルテミス宇宙飛行士が地球に戻るまで待機することになります。


元記事: https://arstechnica.com/space/2026/02/nasa-gears-up-for-one-more-key-test-before-launching-artemis-ii-to-the-moon/