アバランチ・エナジー、小型化戦略で核融合エネルギー開発を加速

核融合エネルギー開発の新たな潮流:小型化への挑戦

核融合エネルギーと聞くと、巨大な原子炉や多数の大型レーザーを想像するのが一般的です。しかし、アバランチ・エナジー(Avalanche Energy)の共同創業者兼CEOであるロビン・ラングトリー氏(Robin Langtry)は、「小型の方が優れている」と考えています。同社は、数年間にわたり、実質的にデスクトップサイズの核融合炉の開発に取り組んでおり、その目標は「小型サイズを利用して迅速に学習し、素早く反復すること」にあります。核融合は、太陽の力を再現し、クリーンな熱と電力を供給する可能性を秘めていますが、プラズマの加熱と圧縮という極めて困難な課題を解決する必要があります。

アバランチ・エナジーの独自技術と迅速な開発アプローチ

核融合産業は、物理的な課題、最先端の材料科学、そして膨大な電力要件を伴うことで知られています。Commonwealth Fusion Systems(CFS)のような企業が大型磁石でプラズマを閉じ込めるのに対し、アバランチは非常に高い電圧の電流を使用してプラズマ粒子を電極の周囲に周回させる独自のアプローチを採用しています。粒子が加速し、軌道が狭まるにつれて、粒子同士が衝突して核融合を起こします。この小型化戦略により、アバランチは開発速度を大幅に向上させており、デバイスの変更テストを「時には週に2回」実施しているとラングトリー氏は述べています。これは、大規模な装置では困難かつ高コストなアプローチです。

ブルーオリジンからの着想と新たな資金調達

アバランチ・エナジーのアプローチは、ラングトリー氏がジェフ・ベゾス氏が支援する宇宙技術企業ブルーオリジン(Blue Origin)で働いていた経験に大きく影響を受けています。同氏は、共同創業者ブライアン・リオーダン氏(Brian Riordan)と共に、「SpaceXの『ニュー・スペース』アプローチを活用することで、非常に迅速に反復し、素早く学習し、いくつかの課題を解決できることが分かった」と語っています。同社は最近、R.A.キャピタル・マネジメント(R.A. Capital Management)が主導し、8090ベンチャーズ(8090 Ventures)、コングルエント・ベンチャーズ(Congruent Ventures)、ファウンダーズ・ファンド(Founders Fund)、ローワーカーボン・キャピタル(Lowercarbon Capital)、オーバーレイ・キャピタル(Overlay Capital)、トヨタ・ベンチャーズ(Toyota Ventures)が参加した投資ラウンドで、さらに2,900万ドルを調達しました。これにより、これまでの総資金調達額は8,000万ドルとなり、核融合業界では比較的小規模な金額ではありますが、その技術への期待の高さを示しています。

ブレークイーブン達成に向けた今後の展望

現在、アバランチの原子炉は直径わずか9センチメートルですが、ラングトリー氏によると、新型バージョンは25センチメートルに拡大し、約1メガワットの電力を生成する見込みです。これにより、「閉じ込め時間が大幅に向上し、Q値が1を超える(Q>1、つまりブレークイーブン点を越える)プラズマを実現する可能性が高まる」と期待されています。これらの実験は、同社が所有し、競合他社にも貸し出している商用試験施設「FusionWERX」で行われます。2027年までに、同施設は燃料として使用されるトリチウムの取り扱い許可を取得する予定です。ラングトリー氏は、ブレークイーブン達成の具体的な日付を明言しませんでしたが、CFSやサム・アルトマン氏が支援するヘリオン(Helion)といった競合他社と同程度のタイムラインで進行していると考えており、「2027年から2029年にかけて、核融合分野で多くの非常にエキサイティングな出来事が起こるだろう」と述べています。


元記事: https://techcrunch.com/2026/02/03/avalanche-thinks-the-fusion-power-industry-should-think-smaller/