Reflection AI、20億ドルを調達し評価額80億ドルに急騰
元Google DeepMindの研究者2名によって昨年設立されたスタートアップ、Reflection AIが、20億ドルという巨額の資金調達を発表しました。これにより、同社の評価額はわずか7ヶ月前の5億4500万ドルから80億ドルへと15倍に急騰しました。当初は自律型コーディングエージェントに焦点を当てていた同社は、現在、OpenAIやAnthropicのようなクローズドなフロンティアラボに対するオープンソースの代替として、またDeepSeekのような中国のAI企業に対する西側諸国の対抗馬として、その地位を確立しようとしています。
DeepSeekに挑戦し、米国のオープン・フロンティアAIラボを目指す
Reflection AIは、DeepMindのGeminiプロジェクトで報酬モデリングを主導したミシャ・ラスキン氏と、2016年に囲碁の世界チャンピオンを破ったAIシステムAlphaGoの共同開発者であるイオアニス・アントノグロウ氏によって2024年3月に設立されました。彼らの高度なAIシステム開発の経験は、既存の巨大テック企業の外でもフロンティアモデルを構築できるという彼らの主張の核となっています。今回の資金調達と同時に、Reflection AIはDeepMindとOpenAIからトップクラスの人材を招集し、「オープン・インテリジェンス戦略に合致するスケーラブルな商業モデルを特定した」と発表しました。
先進的な技術と「オープン」の定義
Reflection AIのチームは現在約60名で構成されており、そのほとんどがAI研究者およびインフラ、データトレーニング、アルゴリズム開発のエンジニアです。ラスキンCEOはTechCrunchに対し、同社が計算クラスターを確保し、来年には「数十兆トークン」で訓練されたフロンティア言語モデルをリリースする意向を明らかにしました。Reflection AIはXへの投稿で、「かつて世界のトップラボ内でのみ可能と考えられていた、大規模LLMと強化学習プラットフォームを構築し、フロンティア規模のMixture-of-Experts(MoEs)モデルを訓練できる」と述べています。MoEsはフロンティアLLMを動かす特定のアーキテクチャであり、これまで大規模なクローズドAIラボのみが大規模に訓練できるとされていました。Reflection AIの「オープン」の定義は、モデルの重み(AIシステムの動作を決定するコアパラメータ)を公開することに焦点を当てていますが、データセットと完全な訓練パイプラインはプロプライエタリに維持する方針です。ラスキン氏は、「最も影響力のあるのはモデルの重みであり、誰でもそれを使って試行錯誤できる」と説明しています。
米国のAI戦略における重要性と商業モデル
ラスキン氏は、DeepSeekやQwenのような中国のモデルが「目覚まし時計」であり、米国がAIのグローバルスタンダードを構築する必要があると強調しました。彼は、企業や国家が中国製モデルを使用することによる潜在的な法的影響を指摘し、米国の技術的優位性の重要性を訴えています。ホワイトハウスAI・暗号通貨担当官のデビッド・サックス氏やHugging FaceのCEOクレム・デラング氏も、Reflection AIのミッションを支持する姿勢を示しています。Reflection AIの商業モデルは、Reflection AIのモデル上に製品を構築する大企業や、「ソブリンAI」システム(各国が開発・管理するAIモデル)を開発する政府からの収益に焦点を当てています。ラスキン氏は、「大企業は、コスト管理、カスタマイズ性、インフラ上での実行能力を理由にオープンモデルを好む傾向がある」と述べています。
今後の展望と主要投資家
Reflection AIはまだ最初のモデルをリリースしていませんが、ラスキン氏によると、それは主にテキストベースであり、将来的にはマルチモーダル機能も搭載される予定です。今回の資金調達は、新しいモデルの訓練に必要な計算リソースの確保に充てられ、同社は来年初頭に最初のモデルをリリースすることを目指しています。今回の資金調達ラウンドには、Nvidia、Disruptive、DST、1789、B Capital、Lightspeed、GIC、Eric Yuan、Eric Schmidt、Citi、Sequoia、CRVなど、多数の著名な投資家が参加しています。