衝撃の発言の背景
2025年10月10日、テクノロジー業界に衝撃が走りました。これまでリベラル派の慈善家として知られ、サンフランシスコのホームレス支援や公立学校への寄付、ヒラリー・クリントン氏の資金調達イベントを主催してきたセールスフォースCEOのマーク・ベニオフ氏が、ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで驚くべき政治的変容を見せたのです。
サンフランシスコへの州兵派遣を提言
ベニオフ氏は、自身のプライベートジェット機内で行われた50分間のインタビューで、ドナルド・トランプ大統領を「全面的に支持する」と宣言し、さらにサンフランシスコの街路を州兵が巡回すべきだとの見解を示しました。これは、連邦政府との数百件の契約を持つセールスフォースのトップとして、また一市民としても極めて異例な発言です。
彼はウィンザー城での晩餐会でトランプ大統領と対面したことに感激し、「大統領のあらゆる行動に感謝している」と述べました。また、イーロン・マスク氏の政府効率化への取り組みを称賛する一方で、移民取り締まりやトランプ氏によるメディア攻撃に関するニュースには「あまり注目していなかった」と語っています。
広報チームの困惑とシリコンバレーの変容
この発言は、同席していた自身の広報担当者を明らかに困惑させました。インタビューの終盤、ベニオフ氏が広報担当者の表情に気づき、「政治的な質問はどうだ?刺激的すぎたか?」と尋ねたという報道は、この状況の異様さを物語っています。
ベニオフ氏のこの変化は、シリコンバレー全体がトランプ政権に順応していく広範な動きを反映していると見られています。しかし、主要都市への州兵派遣を求めるという彼の具体的な提言は、その「順応」がどこまで進むのかという疑問を投げかけています。他のベイエリアのテクノロジーCEOたちが、ベニオフ氏に続いて自らの街への連邦軍派遣を求めるのか、今後の動向が注目されます。
セキュリティとテクノロジーリーダーの役割
今回のベニオフ氏の発言は、単なる政治的見解を超え、都市の治安維持と市民の安全保障という重要なテーマに深く関わっています。テクノロジー業界のリーダーが、公の場でこのような強硬なセキュリティ対策を提言することは、社会に大きな影響を与える可能性があります。特に、国家の軍事力を国内の都市に展開するという提案は、市民の自由やプライバシー、そして民主主義の原則に与える影響について、広範な議論を巻き起こすことでしょう。
テクノロジー企業が政府との関係を深める中で、そのリーダーたちがどのような政治的スタンスを取り、それが社会のセキュリティガバナンスにどう影響するのか、セキュリティニュースの観点からも引き続き注視していく必要があります。