ピーター・ティール氏支援の「強化ゲーム」、ドーピング容認でスポーツ界に波紋

ドーピングを容認する新たなスポーツイベントが波紋

著名な投資家ピーター・ティール氏とドナルド・トランプ・ジュニア氏の1789キャピタルが支援する新たなスポーツベンチャー「エンハンスト・ゲームズ(Enhanced Games)」が、スポーツ界に大きな議論を巻き起こしています。このイベントは、従来のオリンピックの概念を覆し、選手がドーピングを行うことを公に許可するという前代未聞の方針を打ち出しています。

「強化ゲーム」の概要と目的

2026年5月にラスベガスで開幕が予定されている「エンハンスト・ゲームズ」は、世界記録を更新した選手に100万ドルの報奨金を提供すると発表しています。そのビジネスモデルは、レッドブルのようなスペクタクルを通じて、将来的な「強化製品」のマーケティングを行うことを目指していると報じられています。

TechCrunchのEquityポッドキャストでは、共同創設者兼社長のアーロン・D・スーザ氏が、強化ビジネス、長寿分野での構築、そして誰がそれを行うべきかについて語りました。

スポーツの公平性と選手の安全への懸念

この「ドーピング容認」という方針は、スポーツにおける公平性と選手の健康・安全という根幹的な問題に直結します。従来のスポーツ界では、ドーピングは厳しく禁止され、その違反は選手のキャリアを脅かす重大な不正行為とされてきました。エンハンスト・ゲームズのアプローチは、以下のような深刻な懸念を引き起こします。

  • 選手の健康リスク:ドーピングは、心臓病、肝臓障害、精神疾患など、選手に深刻な健康被害をもたらす可能性があります。これを公に容認することは、選手の長期的な健康を危険に晒すことになります。
  • スポーツの公平性:薬物を使用しない選手との間に不公平な競争環境を生み出し、スポーツ本来の価値である努力や才能を軽視する可能性があります。
  • 倫理的境界線の曖昧化:「強化」と「ドーピング」の境界線を曖昧にすることで、スポーツの倫理的基盤を揺るがしかねません。

この動きは、スポーツの未来、そして「人間がどこまで自らを強化すべきか」という生命倫理に関わる議論を加速させるものと見られています。

今後の展望

ピーター・ティール氏のような影響力のある人物がこのベンチャーを支援していることは、単なるスポーツイベントに留まらない、より広範な「人間強化」技術への投資と関心を示唆しています。エンハンスト・ゲームズがスポーツ界にどのような影響を与え、社会にどのような議論を提起していくのか、その動向が注目されます。


元記事: https://techcrunch.com/video/this-thiel-backed-venture-allows-doping-in-its-own-sports/