Amazon RingとFlockの提携:監視体制の強化か
Amazon傘下のスマートドアベル企業Ringが、AI搭載監視カメラ企業Flockと新たな提携を発表しました。この提携は、法執行機関による監視カメラ映像へのアクセスをさらに拡大する可能性があり、プライバシー保護団体から懸念の声が上がっています。
Flockは過去に、米国のシークレットサービス、海軍、そして移民税関捜査局(ICE)とデータ共有を行っていたことが報じられており、その監視技術の利用範囲はすでに広範に及んでいます。
警察による映像要求の仕組みとプライバシーへの影響
今回の提携は、Ringの「Community Request」プログラムを通じて行われます。これにより、Flockのプラットフォーム(NovaまたはFlockOS)を利用する米国の地方法執行機関は、RingのNeighborsアプリを通じてRingユーザーにビデオ映像の提供を直接要求できるようになります。
- 要求内容:法執行機関は、犯罪の詳細、日時、場所、および「固有の調査コード」を明記する必要があります。
- 通知方法:映像要求は、特定の「関心領域」にいるすべてのRingユーザーのNeighborsアプリのフィードに表示されます。
- ユーザーの選択:Ringは、このプログラムへの参加は「完全に任意」であり、ユーザーは通知を完全にオフにすることも可能だと説明しています。また、法執行機関は、誰が要求を受信したか、または誰が要求を拒否したかを知ることはできないとされています。
しかし、このような仕組みは、市民のプライバシーが侵害される可能性をはらんでいます。警察が特定の地域で発生した事件の映像を広範囲の住民に要求できるようになることで、監視の目が強化されることへの懸念は避けられません。
過去の経緯と「緊急時」のデータ共有
Ringは以前から法執行機関との協力関係が指摘されており、令状なしでデータを提供してきた事例も報じられています。2024年にはNeighborsアプリの「Request for Assistance」機能は廃止されましたが、Ringは「緊急時」と判断される状況においては、引き続き令状なしでデータを法執行機関に提供する選択肢を残しています。これは、GoogleがNestデータに対して用いている「緊急時」の抜け穴と同様のものです。
ユーザーに求められる対応
今回の提携により、Ringユーザーは自身のプライバシー設定を改めて確認することが重要になります。Community Requestプログラムへの参加は任意であるため、ユーザーは自身の判断で映像提供の可否を決定できます。不必要な監視を避けるためにも、アプリの設定を見直し、通知設定を適切に管理することが推奨されます。
元記事: https://www.theverge.com/news/801856/amazon-ring-partners-flock-video