Waymoロボタクシー、停車中のスクールバスを迂回し調査対象に
米国の交通規制当局は、Waymoの自動運転タクシー(ロボタクシー)が停車中のスクールバスを迂回した事案を受け、調査を開始しました。この事態は、自動運転技術の安全性と信頼性に対する懸念を改めて浮上させています。
国家幹線道路交通安全局(NHTSA)は月曜日、10月初旬にアトランタで撮影された映像に基づき、欠陥調査室(ODI)が調査を開始したと発表しました。映像には、Waymoの自動運転車が、子供たちが降車中の赤色灯を点滅させたスクールバスの周囲を走行する様子が映っていました。
事案の詳細とWaymoの主張
ODIの文書によると、今回の調査では、停車中のスクールバス周辺におけるWaymoの自動運転ソフトウェアの性能、および関連する規則へのシステム設計の準拠状況が検証されます。NHTSAは、これまでのWaymoとのやり取りから、「同様の事案が過去にも発生している可能性が高い」と指摘しており、問題の根深さを示唆しています。
問題のWaymoロボタクシーは、スクールバスの右側から垂直に横切り、バスの前方を左に曲がって走行を続けました。Waymoは、バスがロボタクシーが発進しようとしていた私道を部分的に塞いでいたと説明しています。同社は、ロボタクシーが「点滅するライトや停止標識を視認できなかった」と主張しています。
Waymoの対応と安全性への主張
Waymoは声明で、「安全性は当社の最優先事項であり、米国で最も困難な運転環境の一部で、毎週何十万もの完全自動運転による有料乗車を提供している」と述べ、人間の運転よりも事故発生率が低いというデータを引用しました。同社はまた、性能向上のため、すでにフリートにソフトウェアアップデートを適用したと発表しています。
しかし、今回の事案は、自動運転車が予期せぬ状況や重要な交通標識にどのように反応するかという、基本的な安全機能に関する疑問を投げかけています。
過去の規制当局による調査
NHTSAがWaymoの自動運転車を調査するのは今回が初めてではありません。過去にも同様の安全上の懸念が浮上しています。
- 2023年:低速走行時にゲートやチェーンなどの道路上の障害物に対処する際に問題が発生しているとの報告を受け、NHTSAが調査を実施。この調査は、5月のソフトウェアアップデートによるリコールにつながりました。
- 昨年:Waymo車両が誤った車線に進入したり、工事区域に侵入したりしたとの報告に関して、当局が調査を開始しました。
これらの過去の事例は、自動運転技術の展開において、継続的な監視と改善が必要であることを示しています。
自動運転技術の課題と今後の展望
Waymoはアトランタでのサービス開始、オースティンへの導入、シリコンバレーでの拡大、ニューヨーク市などでのテスト運用、そして2026年にはさらに多くの都市での展開を計画しており、急速な事業拡大を進めています。新しい都市でのサービス開始プロセスには、自動運転システムが新たなシナリオに遭遇し、そこから学習することが含まれます。
しかし、今回のスクールバスの事案は、自動運転技術が直面する「予期せぬ状況への対応」という大きな課題を浮き彫りにしています。特に、子供たちの安全に関わるスクールバスのような重要なシナリオにおいて、システムの確実な認識と適切な反応は、技術の社会受容性を高める上で不可欠です。規制当局による厳格な監視と、企業による継続的な技術改善が、自動運転の安全な未来を築く鍵となるでしょう。