Snapchat、初のオープンプロンプトAIレンズを米国で無料提供開始:AI競争激化と潜在的リスク

Snapchat、「Imagine Lens」を無料化

Snapchatは、初のオープンプロンプト画像生成AIレンズである「Imagine Lens」を、米国の全ユーザー向けに無料で提供開始しました。このレンズは9月に有料サブスクライバー向けに先行導入されていましたが、今回の無料化により、より多くのユーザーがAIを活用した画像編集機能を利用できるようになります。

ユーザーは、自撮り写真に「エイリアンに変身させて」といったカスタムプロンプトを適用したり、「不機嫌な猫」のような画像を生成したりすることができます。ハロウィンのコスチュームのアイデアを試したり、友人を新しい姿に「再想像」したりするなど、多様な使い方が提案されています。生成された画像は、Snapchatのストーリーや友人との共有はもちろん、アプリ外でも共有可能です。

激化するAI競争とSnapchatの戦略

今回の無料化は、Meta AIやOpenAIのSoraといったAI動画生成アプリが登場し、若年層の注目を集めるAIツールの競争が激化する中で行われました。これらの競合サービスは、写真加工以上の高度なAI機能を提供しており、例えばSoraはユーザーが自身の外見をキャプチャした動画や音声を提供することで、AIペルソナ(「カメオ」と呼ばれる)を生成し、友人と共有して一緒に動画に出演させることが可能です。

このような状況下で、Snapchatは競争力を維持するために、AI画像生成レンズの無料提供が価値ある投資であると判断した模様です。これまでLens+およびSnapchat Platinumの有料サブスクライバーのみが利用可能でしたが、今回の拡大により、無料ユーザーにも限定的ながら画像生成機能が提供されます。米国を皮切りに、カナダ、イギリス、オーストラリアでも展開が予定されています。

AI生成コンテンツにおけるセキュリティとプライバシーの考慮事項

AI技術の進化は、ユーザー体験を豊かにする一方で、セキュリティとプライバシーに関する新たな課題も提起しています。特に「オープンプロンプト」による画像生成や、友人を「再想像」する機能は、ディープフェイク技術の悪用や、同意のない個人情報の利用といった潜在的なリスクをはらんでいます。

ユーザーが自身の写真や友人の写真をAIで加工・生成する際、そのコンテンツがどのように利用され、共有されるかについて、プラットフォーム側の明確なガイドラインとユーザーへの啓発が不可欠です。また、AIが生成するコンテンツの信憑性や、それが引き起こす可能性のある誤情報拡散についても、社会的な議論と対策が求められます。

Snapchatは、1日に80億回以上レンズが利用されていると報告しており、その影響力の大きさから、AI機能の提供においては倫理的かつ責任あるアプローチがこれまで以上に重要となります。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/22/snapchat-makes-its-first-open-prompt-ai-lens-available-for-free-in-the-us/