Samsungスマート冷蔵庫に広告表示開始:ユーザーのプライバシーと信頼への影響

Samsungスマート冷蔵庫に広告表示開始

Samsungは、来月から米国で販売されているFamily Hubスマート冷蔵庫に、Samsung関連製品およびサービスの広告表示を開始すると発表しました。これは、2,000ドル以上するこれらのコネクテッド家電に、購入後に新たな機能として広告が追加されることを意味します。

広告表示の詳細

広告は、スマート冷蔵庫の「カバー画面テーマ」に表示される新しいウィジェットの一部として導入されます。このウィジェットは、ニュース、カレンダーイベント、天気予報、そして「厳選された広告」の4つの画面を10秒ごとにローテーション表示します。また、新しい「デイリーボード」画面でも、6つのタイルの一つに広告が表示される予定です。

このアップデートは、10月27日の週から米国の21.5インチおよび32インチの大型スクリーンを搭載したFamily Hub冷蔵庫に順次展開され、広告はその後1週間ほどで表示され始めるとのことです。

ユーザーの懸念とSamsungの対応

多くのユーザーは、購入時には広告表示がなかったデバイスに、後から広告が追加されることに強い懸念を抱いています。記事の筆者は、これを「滑りやすい坂道」と表現し、将来的にはより侵襲的な広告が表示される可能性を危惧しています。

Samsungは、ユーザーが広告をオフにするオプションを提供しています。冷蔵庫の「設定」ページから「広告」を選択し、トグルをオフにすることで、ウィジェット全体を削除できます。また、ウィジェットの他の機能(カレンダー、天気、ニュース)を利用したい場合は、特定の広告を「X」で閉じることで、その広告が再表示されないようにすることも可能です。

プライバシーと信頼への影響

当初、広告はSamsung製品とサービスに限定されるとされていますが、Samsung Adsの幹部が「コネクテッドホームのあらゆる画面にブランドメッセージを届ける」と述べていることから、将来的にはサードパーティの広告が導入される可能性が高いと見られています。

これは、スマートホームユーザーの間で、スマート家電が収集するデータがどのように利用されるか、そしてそれがパーソナライズされた広告に繋がるのではないかというプライバシーに関する懸念を増幅させています。Samsungは、Family Hubの広告は「文脈的または非個人的」であり、「個人情報を収集したり、消費者を追跡したりすることはない」と主張していますが、これは「今日」の状況であり、将来的に変更される可能性が指摘されています。特に、複数人が住む家庭において、パーソナライズされた広告が個人のプライベートな情報を露呈する可能性は、信頼を損なう大きな問題となり得ます。

その他のアップデート

広告導入とは別に、今回のソフトウェアアップデートでは、Family Hubにいくつかの有用な新機能も追加されます。これには、AI Visionによる食品認識の強化(37種類の生鮮食品と50種類の加工食品)、BixbyのVoice ID機能によるパーソナライズされた結果表示、SamsungのOne UIの2024年モデルへの導入、SmartThings Pet Care、Home Care、Family Careの利用可能化などが含まれます。

また、セキュリティ機能の強化も行われ、暗号化されたCredential Sync、Passkeyサポート、そして接続されたデバイスのセキュリティ状態を確認できる新しいKnox Security Dashboardが、より多くのモデルで利用可能になります。

スマート家電における広告の未来

Samsungは、今回の広告導入を「責任ある、ユーザーが制御できる方法で、より役立つ空間を作るためのテスト」と位置付けています。しかし、ユーザーが購入したデバイスに後から広告が追加されるというビジネスモデルは、スマート家電業界におけるユーザーの信頼プライバシー保護のあり方を改めて問い直すものとなるでしょう。


元記事: https://www.theverge.com/report/806797/samsung-family-hub-smart-fridge-ads-opt-out