AccessGridが440万ドルを調達、スマートフォンをセキュアなデジタルキーフォブに変革

デジタルキーフォブの未来を拓くAccessGridが資金調達

スマートフォンをキーフォブとして利用する新たな時代が到来しようとしています。AccessGridは、このビジョンを実現するため、シードラウンドで440万ドルの資金調達を発表しました。同社は、AppleおよびGoogleのウォレットプラットフォーム内でデジタルキーフォブを管理するためのAPIを開発しており、物理的なアクセス制御システムに革命をもたらすことを目指しています。

QuickNodeの共同創設者であるAuston Bunsen氏が立ち上げたAccessGridは、ユーザーがiPhoneがロックされている状態でも、Apple Watchと自動的に同期して、さらにはバッテリーが切れた状態でもドアのロックを解除できるソリューションを提供します。

時代遅れのアクセス制御業界が抱える課題

AccessGridが解決しようとしているのは、長らく進化が停滞していたアクセス制御業界の課題です。Bunsen氏によると、現在の多くのシステムは「1990年代後半」の技術に留まっており、オンプレミスでの運用、クラウドとの非接続性、暗号化されていない通信、そして容易にハッキングされる可能性のあるIDカード技術が依然として主流です。

AccessGridのセキュアなソリューション

AccessGridは、これらの脆弱性を克服するための強力なソリューションを提案しています。同社のAPIは、従来のシステムを置き換え、以下の特徴を持つセキュアなデジタル認証情報を提供します。

  • 複製不可能な認証情報の発行
  • 暗号化されたペイロードの使用
  • クラウド経由での即時失効機能

セキュリティは同社の最優先事項であり、Bunsen氏は「軍事レベルの暗号化」と「デュアル暗号化」を採用していると強調しています。さらに、すべてのサーバーアクセスには多要素認証が導入され、業界標準のサイバーセキュリティ対策が講じられています。これにより、物理的なセキュリティシステムを2025年の基準に引き上げることを目指しています。

資金調達と今後の展望

今回のシードラウンドはHarlem Capitalが主導し、Exceptional CapitalのMarell Evans氏、Spice CapitalのMaya Bakhai氏、そしてHF0アクセラレーターも参加しました。Bunsen氏は、AccessGridがSwiftConnectやSharryといった競合他社とは異なり、サービス契約や既存のハードウェアデバイスと連携するためのミドルウェアを販売しない「純粋なAPIのみのデベロッパープラットフォーム」であると差別化を図っています。

調達した資金は、アプリのセキュリティ強化、新製品および新機能の開発に充てられます。将来的には自動車製品への展開も視野に入れており、最終的には米国内のすべてのアクセス制御リーダーをアップグレードし、「キーをなくす心配がなく、常に身近にある世界」の実現を目指しています。これにより、人々や機械がより速く、より安全に、そしてよりシームレスにアクセスできる未来を創造することがAccessGridの究極の目標です。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/28/accessgrid-raises-4-4m-to-help-turn-phones-into-key-fobs/