トランプ・メディア、核融合エネルギー分野へ参入:TAE Technologiesとの大型合併を発表

主要IT企業が核融合に参入:トランプ・メディアとTAE Technologiesが合併

ソーシャルネットワーク「Truth Social」を運営するトランプ・メディア&テクノロジー・グループ(Trump Media & Technology Group)が、核融合エネルギー分野への事業転換を発表しました。同社は、カリフォルニア州を拠点とする核融合発電企業TAE Technologiesとの合併を決定。この合併により、新たな企業は60億ドル以上の評価額を持つ見込みです。

合併後の新会社の株式は、両社の既存株主がほぼ半分ずつ保有する形となります。トランプ・メディアの主要株主であったドナルド・トランプ前大統領は、就任前に息子であるドナルド・トランプ・ジュニア氏が管理する信託に株式を譲渡しており、ドナルド・トランプ・ジュニア氏が新会社の取締役会のメンバー9名のうちの1人となる予定です。

新会社の概要と核融合発電への野心的な計画

新会社は、核融合発電において非常に野心的な計画を掲げています。具体的には、2026年にも「世界初の商用規模核融合発電所」の建設を開始し、2031年までに稼働させることを目指しています。この最初の発電所は50MWeの電力を生成することを目標とし、将来的には350~500MWeの大規模プラントも計画されています。トランプ・メディアのデビン・ヌネスCEOは、「米国オンラインでの言論の自由を確保するためのインフラを構築してきたが、今度は米国の世界的エネルギー優位性を確固たるものにする革命的技術へと大きな一歩を踏み出す」と語っています。

ヌネスCEOはさらに、「核融合発電は、1950年代の商用原子力エネルギー以来、最も劇的なエネルギーブレークスルーとなるだろう。エネルギー価格の引き下げ、供給の増加、米国のAI優位性の確保、製造業基盤の復活、そして国防の強化に貢献する」とその意義を強調しました。

トランプ・メディアの戦略的転換と市場背景

合併相手であるTAE Technologiesは、数十年にわたり核融合技術の開発に取り組んできました。同社の研究は、過去にはGoogleからの投資も受けており、2019年にはAI技術が核融合実現の鍵を握る可能性が指摘されていました。

一方、トランプ・メディアは2025年第3四半期に約5,500万ドルの損失を計上していましたが、同年5月には暗号通貨事業にも進出し、デジタル資産を拡大していました。今回の核融合分野への参入は、同社にとって大きな戦略的転換点となります。

合併の意義と今後の見通し

この合併は、株主および規制当局の承認を経て、2026年半ばに完了する見込みです。IT企業が先進的なエネルギー技術開発に深く関与することは、単なる事業多角化にとどまらず、テクノロジーとエネルギーの融合による新たな産業構造の可能性を示唆しています。特に、核融合発電はクリーンエネルギーの究極の目標とされており、その実現に向けた動きは国内外で大きな注目を集めるでしょう。


元記事: https://www.theverge.com/news/847159/trump-media-tae-technologies-merger-nuclear-fusion