AIリスクによる巨額の損失が明らかに
AI技術の導入が加速する中、企業は新たなリスクに直面しています。EYが約1,000人のC-suiteリーダーを対象に実施した調査によると、回答企業の60%以上がAIリスクに関連する100万ドル以上の損失を被っていることが判明しました。さらに、99%の企業が何らかの形で金銭的な影響を受けていると報告しており、調査対象企業全体の総損失額は推定で43億ドルに上るとされています。
ガバナンスと責任あるAI実践の重要性
このような深刻なAIリスクに対し、ガバナンスと責任あるAIの実践が有効な緩衝材となることが強調されています。明確な責任あるAI原則を定めている企業は、そうでない企業と比較してリスク発生率が30%低いという結果が出ています。多くの企業がガバナンス体制を強化しており、平均して7つの緩和策を導入しています。これには、従業員との標準共有、順守度を測る指標の採用、セーフガードの確立などが含まれます。
ROI達成の課題とガバナンスの再構築
EYのグローバル最高イノベーション責任者であるジョー・デパ氏は、AIソリューションの急速な導入が進む一方で、「AIでどのような価値を達成しているのか」という問いに企業が直面していると指摘します。生産性向上、コスト削減、収益成長といった目標を掲げる企業が多いものの、多額の投資にもかかわらず期待通りのROIが得られず、失望している企業も少なくないとのことです。
デパ氏は、生成AIの普及に伴い、従来のAIガバナンスモデルでは不十分であり、異なるガバナンスプロセスが必要であると強調しています。EY自身もガバナンスの再構築に取り組んでおり、以下の3段階のプロトコルを採用しています。
- ファストトラックパス:明確なビジネスケース、ROI、セキュリティ、倫理、コンプライアンスプロトコルへの順守が確認できるアイデア向け。四半期ごとにレビューされます。
- セカンドティア:よりリスクの高いユースケース向け。
- ハイガバナンスプロセス:最もリスクの高いユースケース向けで、より厳格な監視と追加のセーフガードが求められます。
CIOへの提言:リスクプロファイルの作成とガードレールの導入
OneTrustの調査によると、CIOのほぼ全員がリスク軽減を優先し、ガバナンス予算の増額を計画しています。デパ氏は、イノベーションを加速させたいCIOに対し、チームに明確な方向性を示し、技術専門家がその中で作業できるようなガードレールを導入することを推奨しています。また、「従来のAIガバナンスモデルだけでは不十分であり、リスクプロファイルを作成し、適切なガードレールを設置することで、組織は責任を持ってイノベーションを進めることができる」と述べています。
元記事: https://www.cybersecuritydive.com/news/AI-risks-responsible-safeguards-guardrails-EY-data/804102/
