ルシードモーターズ、主要幹部が相次ぎ退任 – 経営の安定性に懸念

主要エンジニアと製品担当上級副社長が退任

高級EVメーカーのルシードモーターズは、10年以上にわたり同社の主要エンジニアを務めてきたエリック・バッハ氏が退任したことを発表しました。バッハ氏は製品担当上級副社長も兼任しており、2015年からルシードモーターズに在籍していました。同氏は以前、テスラで3年間エンジニアリングディレクターを務め、その前にはフォルクスワーゲンで10年以上のキャリアを積んでいます。

また、品質担当副社長のジェリ・フォード氏も退任します。フォード氏の後任には、スカウトモーターズからマーニー・レバーグッド氏が就任する予定です。

幹部交代の背景と経営体制の動揺

今回の幹部交代は、ルシードモーターズがピーター・ローリンソン前CEOの突然の辞任から9ヶ月が経過し、未だに恒久的なCEOが不在という状況で発生しました。現在は元最高執行責任者のマーク・ウィンターホフ氏が暫定CEOを務めています。

このような状況下で、パワートレイン担当上級副社長のエマド・ドララ氏が「エンジニアリングおよびデジタル」部門全体を統括する役職に昇進しました。ドララ氏は2015年から同社に在籍し、今年初めにも昇進しています。

しかし、バッハ氏とフォード氏の退任は、過去1年間で投資家向け広報担当責任者、オペレーション担当上級副社長、欧州担当マネージングディレクター、ソフトウェア品質担当副社長、マーケティング担当副社長など、一連の幹部流出の最新事例となります。この幹部層の継続的な変動は、同社の経営安定性に対する懸念を増大させています。

事業の転換期における課題

今回の幹部交代は、ルシードモーターズにとって極めて重要な時期に起こっています。同社は待望の高級SUV「グラビティ」をようやく発売し、これが苦戦している「エア」セダンよりも成功すると期待しています。さらに、2026年には5万ドルに近い価格帯の中型車の開発も進めていますが、その実現にはさらなる資金調達が必要となる見込みです。

このような事業の転換期において、主要な技術幹部や品質担当幹部の退任、そしてCEOの不在が続くことは、新製品の開発や市場投入、そして今後の資金調達戦略に潜在的なリスクをもたらす可能性があります。経営層の安定と明確なリーダーシップは、企業の成長と市場での信頼を確保する上で不可欠であり、ルシードモーターズは現在、その点で大きな課題に直面していると言えるでしょう。


元記事: https://techcrunch.com/2025/11/05/lucid-motors-chief-engineer-leaves-after-10-years/