Kaltura、AIアバター企業eSelf.aiを戦略的買収
ニューヨークに本社を置くAIビデオプラットフォーム企業Kalturaは、イスラエルを拠点とするAIアバター企業eSelf.aiを約2,700万ドルで買収する最終契約を締結したと発表しました。この買収は、Kalturaがビデオプラットフォームからビデオベースの顧客および従業員体験プロバイダーへと進化する上で、極めて戦略的な一歩となります。
eSelf.aiの革新的な技術
eSelf.aiは、ユーザーと会話できるAI生成デジタルヒューマン(会話型アバター)を開発しています。30以上の言語に対応し、フォトリアリスティックなデジタルアバターの作成、カスタマイズ、展開を可能にするユーザーフレンドリーなスタジオを提供しています。
同社の技術は、スピーチ・トゥ・ビデオ生成、低遅延スピーチ認識、そしてアバターがユーザーの画面上の情報を認識し反応できるスクリーン理解において深い専門知識を持っています。2023年にCEOのAlan BekkerとCTOのEylon Shoshanによって共同設立されたeSelf.aiは、わずか2年で約15名のAI専門家からなる強力なチームを築き上げました。
Kalturaの狙いと統合計画
Kalturaは、eSelf.aiの仮想エージェント技術を自社のビデオ製品全体に統合する計画です。これにより、リアルタイムでユーザーの画面を「見て」解釈し、会話できるエージェントの実現を目指します。Kalturaの共同創設者兼CEOであるRon Yekutiel氏は、eSelf.aiがリアルタイム同期会話において「クラス最高」であり、その技術スタックが非常に優れていると評価しています。
この統合により、Kalturaは教育、メディア、通信、eコマース、金融サービス、ヘルスケア、製薬といった幅広い分野で、スタンドアロン型および組み込み型のエージェントを展開する予定です。
セキュリティとプライバシーの視点
eSelf.aiの技術が持つ「スクリーン理解」能力は、AIアバターがユーザーの画面内容を認識し、それに基づいて反応することを可能にします。これは、特に金融サービスやヘルスケアなど機密性の高い情報を扱う業界において、データプライバシーとセキュリティに関する重大な懸念を引き起こす可能性があります。アバターがアクセスできる情報の範囲、その情報の処理方法、および潜在的なデータ漏洩リスクについて、厳格なセキュリティ対策と透明性が求められます。
また、フォトリアリスティックなアバターとスピーチ・トゥ・ビデオ生成技術は、ディープフェイクやなりすましといった悪用リスクも内包しています。AI技術の進化に伴い、これらの技術がどのように悪用される可能性があるかを常に監視し、防御策を講じることがセキュリティニュースの観点から重要です。
Kalturaの事業背景と今後の展望
Kalturaは、Amazon、Oracle、Salesforce、SAP、Adobe、IBMなどの大手テクノロジー企業を含む800以上の企業顧客にサービスを提供しており、企業向けビデオポータル、ウェビナー、仮想イベント、ビデオ学習ソリューションなどを提供しています。同社は2021年に上場し、約1億8,000万ドルの収益を報告しており、調整後EBITDAおよびキャッシュフローベースで黒字化しています。
今回の買収はKalturaにとって4度目となります。過去には2014年にTvinci、2018年にRapt Media、2020年にNewrowを買収しています。eSelf.aiは2024年12月に450万ドルの資金調達を発表したばかりでした。
元記事: https://techcrunch.com/2025/11/10/kaltura-acquires-eself-founded-by-creator-of-snaps-ai-in-27m-deal/
