Monarch Tractor、従業員にレイオフと事業閉鎖の可能性を警告
自律走行電気トラクターを開発するスタートアップ、Monarch Tractorが従業員に対し、100名以上のレイオフ、あるいは事業の「閉鎖」に至る可能性を警告しました。この警告は、TechCrunchが入手した社内メモによって明らかになったものです。
同社は過去数週間にわたり、カリフォルニア本社およびインド、シンガポールのリモートチームで一部のポジションを削減しており、今回の警告はそれに続くものとなります。
2.2億ドルの資金調達と事業戦略の変遷
2018年に創業したMonarch Tractorは、Teslaの初代ギガファクトリーの元幹部や著名なワイン醸造家一家のCarlo Mondavi氏らによって設立されました。これまでに少なくとも2.2億ドルを調達しており、2024年には1.33億ドルを調達するなど、大規模な資金を背景に「ドライバー不要」の自律型トラクターの製造・販売を目指してきました。これまでに約500台のトラクターが出荷されたとされています。
しかし、2024年後半には大規模な事業再編を発表。酪農での飼料押し込みやゴルフコースの管理など、トラクターの用途を多様化させるとともに、ソフトウェアサービスや同社の自律走行技術のライセンス供与に重点を置く方針を示していました。
顧客からの「欠陥品」訴訟と製造パートナーの喪失
このような状況の中、Monarch Tractorの技術力に対して疑義が呈されています。同社の初期ディーラーの一つであるIdahoのBurks Tractorは、Monarchが「欠陥品」の車両を販売し、それが「自律的に動作できなかった」と主張する訴訟を起こしています(Monarchは裁判でこの主張を否定)。
さらに、同社は今年初めに製造パートナーであったFoxconnとの契約を失っており、これが今回の危機に拍車をかけた可能性があります。
SaaSへの大幅なピボットとさらなる人員削減
社内メモによると、Monarch Tractorはトラクター製造からさらに大きく方向転換し、「Monarchの顧客が完全に商業化されたサービスとしてのソフトウェア(SaaS)による自律走行およびその他のソフトウェア製品を直接消費者に提供できるようになり、OEMに新たな収益源をもたらす」という新事業計画に移行しようとしています。
しかし、この移行を完了するまでのタイミングが「Monarchを閉鎖の危機に晒している」と記されています。同社は最大102名の従業員を恒久的にレイオフする可能性があるとのことです。2024年後半の再編時には、当時の約300名の従業員のうち10%以上がレイオフされていました。
また、Tesla出身の共同創業者Mark Schwager氏も今年7月に退社しており、Monarch Tractorは事業と人員の両面で大きな転換期を迎えています。
