仮想通貨ミキサー創設者に実刑判決:2億3700万ドル超の資金洗浄で
仮想通貨ミキシングサービス「Samourai Wallet(サムライウォレット)」の創設者らが、犯罪者による2億3700万ドル(約355億円)を超える資金洗浄を幇助したとして刑務所に送られました。
SamouraiのCEOであるKeonne Rodriguezは11月6日に5年の実刑判決を、最高技術責任者(CTO)のWilliam Lonergan Hillは11月19日に4年の実刑判決を受けました。両名には、さらに3年間の監視付き釈放と25万ドルの罰金が科せられます。
この2人は2024年4月に逮捕され、無許可の送金事業運営の共謀(最高5年)と資金洗浄(最高20年)の罪で起訴されました。彼らは2025年8月にSamouraiの資金洗浄事業を運営していたことを認め、Samouraiの取引に関連する犯罪収益の総額である2億3783万2360.55ドルを没収することに同意しました。
Samourai Walletの機能と悪用
逮捕の日、アイスランドの警察官はSamouraiのサーバーとドメイン(samourai.ioおよびsamouraiwallet.com)を押収し、GoogleもPlayストアから同社のAndroidモバイルアプリを削除しました。しかし、逮捕につながる作戦が進行中であったにもかかわらず、Samourai Walletのモバイルアプリは10万回以上ダウンロードされており、さらなる違法な金融取引を可能にしていました。
裁判所の文書によると、RodriguezとHillは2015年からSamouraiをモバイルアプリとして開発し、不正な仮想通貨取引を匿名化するために特別に設計されました。主な機能は以下の2つです。
- Whirlpool: 複数のユーザー間でBitcoin取引を混合し、ブロックチェーン記録上の資金源を不明瞭にし、法執行機関が資金を追跡することを困難にしました。
- Ricochet: 不要な中間取引(「ホップ」と呼ばれる)を追加することで、取引と犯罪活動との関連性を確立することを著しく困難にし、違法な資金源をさらに隠蔽しました。
犯罪者による大規模な利用と司法省の見解
薬物密売、ダークネット市場、サイバー犯罪に関わる犯罪者らは、2015年から2024年2月にかけて、Samouraiの仮想通貨ミキサーを利用して20億ドルを超える不正資金を処理しました。この資金洗浄活動全体で、両創設者はWhirlpoolとRicochetの取引から徴収した手数料として、およそ450万ドルを稼いだとされています。
司法省は水曜日に、「Ricochetが2017年に、Whirlpoolが2019年に開始されて以来、8万ビットコイン以上(当時20億ドル超の価値)がこれらのサービスを通過した」と述べました。「Samouraiは両サービスから手数料を徴収しており、その総額は600万ドル以上と推定されています。」
今回の判決は、仮想通貨ミキサーが悪意のある目的で利用されることに対する司法当局の強い姿勢を示すものであり、セキュリティとコンプライアンスの重要性を改めて浮き彫りにしています。
