AIが子どもの創造力を引き出す新デバイス「Stickerbox」
Brooklynを拠点とするスタートアップHapikoから、子ども向けの新しいAI搭載ガジェット「Stickerbox」が登場しました。これは、音声認識型のステッカープリンターで、頭の中のクリエイティブなアイデアを即座に印刷可能なステッカーへと変換します。筆者も最初は懐疑的でしたが、試用後はその楽しさに驚かされ、「AIが子どもの想像力を奪うのではなく、新たな創造的な遊びの形を提供している」と評価しています。
製品の概要と画期的なユーザー体験
Stickerbox本体は99.99ドルで、赤色の小型ボックスに白黒スクリーンと大きな「プッシュ・トゥ・トーク」ボタンが特徴です。3ロール分の紙(180枚のステッカーに相当)と色鉛筆が付属し、往年の「エッチ・ア・スケッチ」を彷彿とさせるデザインです。Etch A Sketchが物理的なノブで絵を描くのに対し、Stickerboxは「音声コマンド」がその役割を担います。
セットアップはWi-Fi接続のみでわずか1分。使い方もシンプルで、ボタンを押してイメージを声に出して伝え、ボタンを離すだけでAIが画像を生成し、ステッカーとして印刷されます。この「考えたことが数秒で手元に現れる」体験は、子どもたちに大きな喜びを与えます。また、感熱式プリンターのためインクは不要で、紙はBPSおよびBPAフリーと安全性にも配慮されています。印刷されたステッカーを色鉛筆で着色することで、デジタルの楽しさとアナログな創造活動が融合し、飽きさせない工夫が凝らされています。複雑なプロンプトにも対応しており、子どもたちの自由な発想をAIが柔軟に解釈する点も特筆すべきです。
Stickerbox誕生の背景:「AI for Kids」への挑戦
Hapiko社は、元GrailedのCEOであるArun Gupta氏と、元ニューヨーク・タイムズのゲーム部門エンジニアリングディレクターを務めたRobert Whitney CTOによって今年設立されました。特にWhitney氏は、AnthropicでのAI技術の進化を目の当たりにしつつ、自身の息子が求めた絵をChatGPTで生成し印刷した経験から、このアイデアを着想しました。子どもがリクエストしたものが瞬時に現実となる体験に「魔法」を感じたWhitney氏は、「子ども向けのAI製品がほとんどない」という市場のギャップに気づきます。
Gupta氏も「子どもたちは無限の想像力と創造性を持っている。それをAIモデルと組み合わせることで、世界で初めて箱の中に画像生成AIを組み込んだ」と語り、子どもたちの好奇心を刺激する新たなAI体験の提供を目指しています。
安全性、ビジネスモデル、そして未来の展望
Stickerboxは、複数のAIモデルとHapiko独自の技術を組み合わせ、特に「子どもが安全に利用できる」ことに注力しています。有害なコンテンツや不適切な言葉には反応せず、保護者が安心して子どもに使わせられるよう厳重なガードレールが設けられています。Gupta氏は「保護者にとって信頼できるブランドでありたい」と強調しています。
現在の収益源はデバイス販売ですが、紙ロールの価格は3ロールで5.99ドルと低く設定されています。将来的には、画像アップロード機能やコラボレーションツール、過去の作品を閲覧・保存できるコンパニオンアプリといったプレミアム機能の導入も検討されています。Wi-Fi接続により、定期的なファームウェアアップデートで新機能や安全対策が追加される点も強みです。同社はMaveron、Serena Ventures、AI2 incubatorなどから700万ドルの資金調達に成功しており、今後の展開が注目されます。
元記事: https://techcrunch.com/2025/11/24/hands-on-with-stickerbox-the-ai-powered-sticker-maker-for-kids/
