Amazonが3つの新AIエージェントを発表
Amazon Web Services(AWS)は、ユーザーの作業スタイルを学習し、数日間にわたって自律的に作業を実行できるAIエージェントを含む、3つの新しい「フロンティアエージェント」を発表しました。これらのエージェントは、コード作成、セキュリティプロセス(コードレビューなど)、DevOpsタスク(新しいコードのライブプッシュ時のインシデント防止など)といった様々なタスクを処理するように設計されています。
プレビュー版は現在利用可能で、特に注目を集めているのが「Kiro自律型エージェント」です。
「Kiro自律型エージェント」の革新的な機能
AWSが提唱する最大の特長は、この「Kiro自律型エージェント」が数日間、単独で作業できるという点です。既存のAIコーディングツール「Kiro」をベースにしており、信頼性の高い本番コードを生成することを目指しています。これは、「仕様駆動開発」という概念を通じて実現されます。Kiroはコードを記述する際、人間の指示、確認、修正を取り入れることで仕様を作成し、それを学習します。また、既存のコードをスキャンするなどしてチームの作業方法を観察することで、その理解を深めます。
AWS CEOのマット・ガーマン氏は、新製品の発表に際し、「バックログから複雑なタスクを割り当てるだけで、Kiroがその作業をどのように達成するかを独立して判断します」と述べ、「ユーザーがどのように作業したいかを学習し、時間とともにコード、製品、チームが従う標準への理解を深めていきます」と強調しました。
Amazonは、Kiroが「セッション間で永続的なコンテキストを維持する」と説明しており、これによりメモリ不足で作業を忘れることなく、最小限の人間介入で数時間から数日間にわたるタスクを処理できると期待されています。
その他のAIエージェントと業界の動向
コーディングタスクの自動化を補完するため、AWSは他の2つのエージェントも開発しました。
- AWSセキュリティエージェント: コード作成中にセキュリティ上の問題を独立して特定し、テストし、修正案を提示します。
- DevOpsエージェント: 新しいコードのパフォーマンス問題や、他のソフトウェア、ハードウェア、クラウド設定との互換性を自動的にテストします。
Amazonのエージェントだけが長時間の作業ウィンドウを主張しているわけではありません。OpenAIも先月、エージェント型コーディングモデル「GPT-5.1-Codex-Max」が最大24時間の長期間実行に対応していると発表しています。しかし、AIエージェント導入の最大の課題は、コンテキストウィンドウの長さだけでなく、いまだに存在する幻覚(ハルシネーション)や精度の問題にあります。開発者はAIの「ベビーシッター」状態になることを避けるため、短いタスクを割り当て、迅速に検証することを望む傾向があります。
AIエージェントの未来
AIエージェントが真の「同僚」となるためには、コンテキストウィンドウのさらなる拡大が不可欠です。Amazonの今回の技術は、この方向への大きな一歩であり、AIエージェントの能力を向上させる重要な進展として注目されます。
