Smart TV OSのTitan OSが5,800万ドルの資金調達、テレビメーカーの収益モデル変革を推進

資金調達の概要とTitan OSの使命

スマートTV向けオペレーティングシステムを提供するバルセロナ拠点のスタートアップ、Titan OSは、Highland Europeが主導するシリーズAラウンドで5,000万ユーロ(約5,800万ドル)の資金調達を実施したと発表しました。Mangrove Capital Partnersもこのラウンドに参加しています。同社は2023年に創業し、同年にはすでに数千万ドルのシードラウンドを調達しています。

Titan OSの核となる使命は、テレビメーカーが製品販売後も顧客からの生涯価値(LTV)を最大化できるよう支援することです。市場競争が激化し、テレビ本体の販売マージンが低下する中で、チャンネル、ストリーミングサービス、広告主との提携を通じて新たな収益源を確保することが急務となっています。

スマートTV市場の新たな収益源

今日のテレビ市場では、ハードウェア販売による利益よりも、コンテンツや広告による継続的な収益が重要視され始めています。Titan OSのCOOであるティモシー・エドワーズ氏は、「かつてはハードウェアメーカーがデバイス自体の販売から利益の大部分を得ていましたが、現在では、独自のOSを持つ一部のハードウェアメーカーは、ハードウェア販売から得られる利益よりも、コンテンツや広告収入からより多くの利益を得ています。これは大きな変化です」と述べています。

Titan OSは、ユーザーがコンテンツを簡単に見つけられるようにするプラットフォームを提供し、ニールセンが指摘するように「コンテンツを探す時間が増加している」という課題に対応します。OS全体で、ユーザーは放送テレビ、サブスクリプション型ストリーミングアプリ、そしてTitan OSのパートナーが提供するFAST(無料広告付きストリーミング)チャンネルを組み合わせた多様なコンテンツにアクセスできます。

Titan OSの提供価値と成長戦略

Titan OSの収益機会は主に以下の3つの分野にあります:

  • 多くのFASTサービスと提携し、地域オーディエンスへのリーチを支援。
  • テレビのホーム画面やストリーム中の広告表示による収益。
  • QRコードをスキャンして商品を購入するショッパブル広告

同社は過去2年間で収益を10倍に伸ばしたと報告しており、PhilipsやJVCとの提携を通じて、現在ヨーロッパとラテンアメリカを中心に1,800万人のユーザーにサービスを提供しています。

Titan OSは、ヨーロッパでの事業拡大のため、地域ごとのローカル言語に対応した広告付きチャンネルのポートフォリオを強化しています。現在、これらの市場で100以上のチャンネルを提供しており、Barcelona、Amsterdam、Taipeiの3拠点に200名の従業員を擁しています。

今後の展望と競争環境

今回調達した資金は、製品開発、営業担当者の増強、新たなパートナーシップの構築、および新しい広告プロジェクトの立ち上げに充てられる予定です。同社は成長曲線を維持し、来年には追加の資金調達を目指しています。

Highland Europeのパートナーであるローレンス・ギャレット氏は、Titan OSを同社の他の成功投資先であるWeTransferと比較し、「コアOSの上に広告モデルがあることの美しさ」を強調しました。また、Titan OSのヨーロッパをルーツとする背景が、海外からの競合他社と比較して、地元の市場を深く理解する上で有利であると付け加えています。競争は激しいものの、Whale TVやXperiのTiVOといった競合と伍して、Titan OSはスマートTVエコシステムにおける重要なプレーヤーとしての地位を確立しつつあります。


元記事: https://techcrunch.com/2025/12/02/titan-os-raises-58-million-from-highland-europe-for-its-smart-tv-os/