AIデータ訓練の新星、Micro1が快進撃
AIデータ訓練サービスを提供する新興企業Micro1が、年間経常収益(ARR)1億ドルを突破したと発表しました。これは、今年の初めには約700万ドルだったARRから、わずか1年足らずで劇的な成長を遂げたことを示しています。同社は、AIラボ向けに人間による専門的な訓練データを募集・管理することで、AI分野で急速な存在感を示しています。
急成長を牽引する要因
Micro1の急成長は、主にAIモデルの改善を目指すAIラボやフォーチュン100企業からの高品質な人間によるデータへの旺盛な需要に支えられています。共同創業者兼CEOのAli Ansari氏(24歳)は、同社がMicrosoftを含む大手AIラボと協力していることを明かしています。また、OpenAIとGoogle DeepMindがScale AIとの提携を解消したことも、Micro1のような企業の台頭を後押ししたと見られています。
競合との比較と市場動向
Micro1のARRは急速に伸びていますが、競合他社と比較するとまだ差があります。例えば、Mercorは4億5,000万ドル以上、Surgeは2024年に12億ドルを報告しています。Ansari氏は、Micro1の成長は専門家を迅速に採用・評価する能力にあると強調しています。元々AI人材紹介サービス「Zara」としてスタートした同社は、後にデータ訓練市場へと事業を転換しました。Ansari氏は、人間によるデータ市場が現在の100億〜150億ドル規模から、2年以内に1,000億ドル近くまで成長すると予測しています。
新たな市場セグメントへの展望
Micro1は、既存の主要なAIラボとの協力に加え、新たな市場セグメントにも目を向けています。一つは、AIネイティブではないフォーチュン1000企業が社内向けAIエージェントを構築するニーズです。これらのエージェントは、ワークフロー、サポート、財務などの業務に利用され、その評価には人間による専門知識が不可欠とされています。もう一つは、ロボット事前訓練の分野です。Micro1はすでに「世界最大のロボット事前訓練データセット」を構築しており、家庭で物体と相互作用する人間のデモンストレーションデータを収集しています。Ansari氏は、これらの新たな分野が将来的に年間1,000億ドル市場の大部分を占めるようになると見ています。
専門家を重視する成長戦略
Micro1は、持続可能な成長のために責任あるスケーリングを重視しており、特にデータ訓練に携わる専門家への適切な報酬を確保しています。同社では、数百の分野にわたる数千人の専門家が活躍しており、中にはハーバード大学教授やスタンフォード大学の博士号取得者も含まれ、時給100ドル近くを稼ぐ人もいるとのことです。Ansari氏は、言語モデル訓練においてこれまで重要視されてこなかったオフラインや技術的ではない分野も含め、専門家の役割が拡大していることに大きな期待を寄せています。
元記事: https://techcrunch.com/2025/12/04/micro1-a-scale-ai-competitor-touts-crossing-100m-arr/
