訴訟の概要
ICEBlockアプリの開発者であるジョシュア・アーロン氏は、トランプ政権がアプリ削除のために行った「不法な脅迫」と、それによってAppleがアプリをApp Storeから削除したことに対し、パム・ボンディ司法長官、米国国土安全保障省長官カースティ・ノーム氏、ICE代理長官トッド・ライオンズ氏、ホワイトハウスの「国境担当責任者」トム・ホーマン氏ら連邦政府関係者を提訴しました。
ICEBlockの公式Blueskyアカウントは「我々は反撃すると約束した。今日、その約束を果たす日だ」と投稿しています。
アプリの機能と人気の急上昇
ICEBlockは、ユーザーがICE(米国移民関税執行局)の活動を匿名で報告できるアプリです。今年初め、CNNが6月下旬にこのアプリを報じ、それに対するトランプ政権の反応が注目されると、App Storeのチャートで急速に上位に浮上しました。
訴状によると、ICEBlockが4月にリリースされる前、アーロン氏はAppleのアプリ審査チームや法務部門と「複数回」にわたる協議を行っていました。そして3月下旬には、Appleが「ICEBlockがApp Storeでのホスティングと公開に適していることを確認した」と訴状は述べています。CNNの記事が公開される前、アプリのユーザーは約2万人でしたが、CNNの報道から1週間も経たないうちに50万人以上のダウンロードを記録しました。
AppleとGoogleの対応
しかし、10月にAppleはICEBlockをApp Storeから削除しました。ボンディ司法長官はFox News Digitalに対し、「本日、Appleに対しICEBlockアプリのApp Storeからの削除を要求し、Appleはそれに応じた」と声明で述べています。その翌日、GoogleもGoogle Playから同様のアプリを削除したことを認めましたが、404 Mediaに対し、司法省からの連絡は受けていないと語りました。同月末には、Facebookもトランプ政権から連絡を受けた後、ICE追跡ページを削除しています。
政府側の主張と法案の動き
先週、下院国土安全保障委員会の共和党議員らは、ICEBlockのようなアプリについてAppleとGoogleに書簡を送付し、「これらのアプリは、職員、その家族、そして進行中の作戦の安全性に深刻なリスクをもたらす」と主張しました。9月には、アンディ・オグルズ下院議員(共和党、テネシー州選出)が、ICE捜査官やその他の連邦法執行官の個人情報を、標的型嫌がらせ、暴行、殺人の危険にさらす方法で「悪意を持って公開すること」を連邦犯罪とする法案を提出しました。
今後の展望
今回の訴訟は、アプリストアのコンテンツポリシー、政府による介入の範囲、そして市民の言論の自由という、デリケートな問題に新たな一石を投じるものです。今後の法廷闘争と、それによって形成されるテクノロジー企業と政府の関係に注目が集まります。
