はじめに:NASAとUSPS、Canoo EVの利用を停止
破産したEVスタートアップCanooが製造する電気自動車(EV)について、米航空宇宙局(NASA)と米郵政公社(USPS)がその使用を停止したことが明らかになりました。これは、Canooの元CEOが車両のサポートを約束していたにもかかわらずの決定です。
NASAの状況:ミッション要件の不達
NASAは2023年にCanooのEVを3台購入し、アルテミス計画の宇宙飛行士を打ち上げパッドまで輸送する目的で使用する予定でした。しかし、NASAはTechCrunchに対し、「Canooはもはやミッション要件を満たすことができなかった」と述べています。その結果、NASAは10月以降、ボーイングが独自の有人宇宙飛行ミッションのために調達したエアストリーム製「アストロバン」をリースして使用しています。
USPSの評価と結論
一方、USPSは2024年に「評価目的」でCanooのEVを6台購入しましたが、電子メールでの声明でこれらの車両が「もはや使用されていない」と発表しました。「評価は完了し、さらなる投資は予定されていない」とのことです。USPSは評価の詳細や最終結果についてコメントを控えました。
Canooはまた、破産前に米国防総省(DOD)にも少なくとも1台のデモンストレーション車両を提供していましたが、DODは車両の使用継続に関するTechCrunchの問い合わせに応じませんでした。
Canooの破産と元CEOの動き
Canooは長年の財政難とEV市場での地位確立に失敗し、2025年1月に破産申請を行いました。その後、元CEOのトニー・アキラ氏は3月に同社の資産に対し400万ドルの入札を行いました。アキラ氏は破産管財人に対し、資産買収の「主な動機」は「特定の政府プログラムに対し、サービスとサポートを提供するというCanooのコミットメントを尊重したい」というものだと述べていました。しかし、NASAとUSPSは、アキラ氏が車両サポートについて両機関に接触したかどうかについてはコメントを拒否しています。アキラ氏本人からのコメントも得られませんでした。
資産売却の舞台裏:競合と論争
破産裁判所は4月にアキラ氏への資産売却を承認しました。Canooの知的財産、試作車、設備を評価するために、最大8つの団体が秘密保持契約(NDA)に署名していました。破産管財人によると、これらのうち数社は入札寸前までいきました。その中には、元Canoo従業員によって2021年に設立されたカリフォルニアを拠点とする電動トラック会社「Harbinger」や、英国の謎の金融家チャールズ・ガーソン氏が含まれていました。
Harbingerは当時、Canooが資産売却プロセスから資産を隠匿していると非難し、破産管財人がアキラ氏の提案を広く市場に出すことなく受け入れたことで「不当にアキラ氏を優遇した」と主張しました。一方、ガーソン氏はCanooの資産に2000万ドルもの支払いをいとわないと主張していましたが、裁判官は最終的に、投資家が期限内に入札を正式に行わなかったと判断しました。
管財人とCanooの弁護士は、アキラ氏の入札が最も堅実で最良のものであったと主張しました。彼らはまた、他の潜在的な入札者の一社(具体名は明かされず)が「外国資本」であるため、対米外国投資委員会(CIFIUS)による審査で懸念が生じる可能性があったと述べました。アキラ氏とCanooの弁護士は、NASA、USPS、DODとの契約を考慮すると、これは特に問題となると指摘しています。
元記事: https://techcrunch.com/2025/12/09/nasa-and-usps-stop-using-canoo-evs-despite-ceos-pledged-support/
