友人向け写真共有アプリ「Retro」に新機能
友人とのつながりに特化した写真共有アプリ「Retro」が、約100万人のユーザー基盤を持つ中で、新たな機能「Rewind(リワインド)」を発表しました。この新機能は、ユーザーがスマートフォンのカメラロールに保存されている過去の思い出写真を「タイムトラベル」するような体験を提供します。
Rewindはデフォルトでプライベートな機能ですが、ユーザーが選択すれば友人との共有も可能です。
「Rewind」開発の背景と目的
Retroの共同創設者であるNathan Sharp氏は、Rewind開発の背景について説明しています。同アプリにはすでに、1年前の同じ週に撮影された写真を表示する機能がありましたが、これは新しくアプリを使い始めたユーザーにとっては、十分な数の写真がアップロードされていないため、利用しにくいという課題がありました。
「新規ユーザーは、この方法で思い出をタイムトラベルする機会がありませんでした」とSharp氏は語ります。
また、Sharp氏は現代の写真の取り扱いにおけるもう一つの課題として、人々がこれまで以上に多くの写真を撮影する一方で、それらの写真を活用する機会が減少している点を挙げ、多くの写真が「デジタルな彼方へ消え去ってしまう」と指摘しています。
Rewindは、AIが生成したコンテンツや「おすすめ」フィードが主流となるトレンドに対する反動でもあります。Sharp氏は、「人々がこれらのプラットフォームを利用するほどに、友人とより多く繋がりたいという思いは常に真実であり続けるでしょう」と述べ、友人との真のつながりを重視するRetroの哲学を強調しています。
「Rewind」の体験と操作方法
Rewindは、既存の「今週の出来事」カードの延長線上、またはボトムナビゲーションバーの中央タブからアクセスできます。機能が起動すると、画面が過去のカメラロール写真へとサイクルし始める際に、触覚フィードバック(ハプティックレスポンス)が作動し、より没入感のある体験を提供します。
主な操作は以下の通りです。
- 共有アイコン:思い出の写真を友人に送ったり、投稿したりできます。
- 非表示機能:見たくない写真(例えば元恋人との写真)は非表示に設定できます。
- 「サイコロ」アイコン:タップするとランダムな思い出にジャンプします。
- iPod風ダイヤル:ダイヤルを回すことで、過去の数ヶ月、数年前へと時間を進めたり戻したりでき、その間にも subtle な振動が感じられます。
任意の写真を長押しすると、トリミングされていない元の写真が表示されます。共有された写真にはタイムスタンプが追加されるため、友人はそれが新しい写真ではないことを理解できます。スクリーンショットはアーカイブには表示されませんが、レシートや仕事のホワイトボードなど、個人的に興味深い思い出となりうる写真は表示されます。また、アプリから写真を削除すると、カメラロールからも削除されます。
既存サービスとの差別化
過去の思い出を振り返る機能自体は、Timehop、Facebookの「過去のこの日」、GoogleフォトやAppleフォトの「メモリー」機能など、これまでにも様々なサービスで提供されてきました。しかしSharp氏は、Retroがこれらの既存サービスと直接競合するとは考えていません。
Facebookは近年、フィードがリンク、ニュース、広告で溢れるようになり、友人のコンテンツの表示順位を下げています。一方、GoogleフォトやAppleフォトは、写真の管理や保存のためのユーティリティと認識されており、Retroのようなソーシャルアプリとは性質が異なります。Retroは、友人との写真共有に特化することで、他サービスとの差別化を図り、Rewind機能によって現在のユーザーのデイリーエンゲージメント(現在45.7%)をさらに高めることを期待しています。
