自宅で本格料理を:AIロボットシェフ「Posha」登場
私がオフィスでこの記事を書いている間にも、キッチンではロボットシェフがマカロニチーズを作っています。これは、AI(人工知能)と電動アームを駆使して料理を自律的に調理する、話題のロボットシェフ「Posha」の体験です。価格は1,500ドルと高価ですが、その調理能力は非常に高く、自宅での食事準備に革命をもたらす可能性を秘めています。
Poshaの仕組みと技術
Poshaは、カウンターに設置するタイプの調理器具で、AIコンピュータービジョン、ロボット攪拌アーム、自動食材・調味料ディスペンサーを搭載しています。主な機能は以下の通りです。
- AIコンピュータービジョン:カメラが食材の色、質感、濃度を分析し、調理プロセスをリアルタイムで調整します。
- ロボット攪拌アーム:3種類の交換可能なヘラを使い分け、人間のように丁寧に調理します。
- 自動ディスペンサー:食材、調味料、水、油を適切なタイミングで自動投入します。
- 1,800ワットのIHクッキングヒーター:正確な温度制御で調理を行います。
- クラウドベースのAIモデル:レシピと調理プロセスはクラウドのAIモデルに依存していますが、インターネット接続が切断された場合でも、小規模なローカルモデルで調理を完了できます。
食材を投入するまでの準備は必要ですが、一度セットすれば、あとはすべてPoshaが自律的に行います。これにより、料理にかかる時間を大幅に削減し、特に忙しい家庭にとって大きな助けとなります。
多忙な現代人に向けた調理ソリューション
Poshaの最大の魅力は、時間の大幅な節約と、手間なく美味しい料理が作れる点にあります。開発者のラガフ・グプタ氏は、多忙な現代人がキャリアと家庭料理の間で板挟みになる状況を解決したいと考えています。Poshaを使えば、わずか5〜20分で食材を準備し、後はロボットに任せて、調理時間を他の活動に充てることができます。
記事の筆者は、Poshaを使うことでテイクアウトの費用が減り、家族と過ごす時間が増えたと述べています。また、普段作らないような新しい料理(特にカレーなど)にも挑戦するきっかけとなり、料理のレパートリーが広がったとのことです。Poshaは、人間よりもはるかに辛抱強く、完璧な火加減や味付けを実現します。バターチキン、パニールカレー、チキンリゾットなど、複雑で時間のかかる料理も「レストラン品質」に仕上げることができます。
高価なデバイスの課題と懸念点
Poshaは画期的な製品である一方で、いくつかの課題も抱えています。
- 高コスト:本体価格が1,500ドル(通常1,750ドル)に加え、月額15ドルのサブスクリプション料金が必要です。サブスクリプションなしでは50種類の無料レシピしか利用できません。
- 準備の手間:食材のカット、計量、容器への投入は依然としてユーザーが行う必要があります。
- 清掃:調理後に容器、鍋、ヘラなど多くのパーツを洗浄する必要があります。
- ソフトウェアと接続性:Wi-Fi接続に依存しており、インターネット接続がないと調理を開始できません。ソフトウェアのバグやタッチスクリーンの反応不良も報告されています。
- サイズと多様性:大型でカウンターのスペースを取ります。また、1つの鍋で調理できる料理に限定されるため、提供されるレシピはインド料理やイタリア料理に偏りがあり、多様性に欠ける点も指摘されています。ステーキや魚の切り身を焼く機能はありません。
競合製品であるThermomixと比較すると、Poshaはより自律的な調理を特徴としていますが、Thermomixの方が小型で多機能(蒸す、混ぜる、刻むなど)です。
家庭料理の未来への一瞥
Poshaは、現状ではニッチなデバイスであり、特定の富裕層向けの贅沢品かもしれません。しかし、新鮮な食事を準備する時間がなく、ある程度の予算がある家庭にとっては、「自律調理」の約束を果たす製品です。高価な価格設定、サブスクリプションモデル、インターネットへの依存、スタートアップ企業の安定性など、懸念点は残りますが、これは家庭のキッチンにおけるロボットの未来を垣間見せてくれる、非常に印象的な一歩と言えるでしょう。この技術が進化し、より手頃な価格で普及すれば、私たちの食卓は大きく変わるかもしれません。
元記事: https://www.theverge.com/tech/840599/posha-robot-chef-review
