米国、EUのテック企業規制に報復を示唆
米国通商代表部(USTR)は、欧州連合(EU)が米国のサービスプロバイダーに対して「差別的かつ嫌がらせ的な訴訟、課税、罰金、指令を継続的に行っている」と非難し、これに対し米国が報復措置を講じる可能性を示唆した。この警告は、EUの厳格化するデジタル規制が国際的な貿易摩擦を引き起こしている現状を浮き彫りにしている。
厳しさを増すEUのデジタル規制
今月初めには、EUのデジタルサービス法(DSA)に基づき、X(旧Twitter)が1億4000万ドルの罰金を科された。過去数年にわたり、Google、Apple、Amazon、Microsoft、Metaといった米国の巨大テック企業も、EUによる新たな法規制、罰金、調査の対象となってきた。
名指しされた欧州企業と米国の対抗措置
USTRは、特定の欧州テック企業として、Accenture、Amadeus、Capgemini、DHL、Mistral、Publicis、SAP、Siemens、そしてSpotifyを名指しした。USTRは、もし「差別的な活動」が続くようであれば、米国は対抗するとしており、「米国法は、外国のサービスに対する手数料の査定や制限などを許可している」と警告した。さらに、「EU型戦略」を追求する他の国々に対しても同様の対応を取る方針を示した。
EUからの反論と公平性の主張
これに対し、欧州委員会のトーマス・レニエ報道官は、ニューヨーク・タイムズ紙とAFP通信に対し、EUは米国との貿易協定の実施に向けて引き続き協力すると述べた上で、「我々の規則は、EU内で事業を行う全ての企業に平等かつ公正に適用されることを何度も明確にしてきた。我々は、公平かつ差別なく規則を施行し続ける」と反論した。
深まる米欧間のテック規制論争
USTRの声明は、米国のサービス企業が「EU市民に実質的な無料サービスを提供し、EU企業に信頼性の高いエンタープライズサービスを提供し、欧州で数百万の雇用と1000億ドル以上の直接投資を支えている」と強調した。しかし、米国側の懸念は長年にわたり無視されてきたと主張している。対照的に、欧州のサービスプロバイダーは、数十年にわたり米国で自由に事業を展開し、市場と消費者に公平なアクセスを享受してきたと指摘し、現状の不均衡を訴えている。
元記事: https://www.theverge.com/news/845869/ustr-eu-trade-threat-spotify-mistral
