e-バイク大手Rad Power Bikesが破産保護を申請:バッテリー火災問題が引き金に

Rad Power Bikes、破産保護を申請

かつて米国を代表するe-バイクブランドであったRad Power Bikesが、今週、連邦破産法第11条の適用を申請しました。この動きは、同社が旧型e-バイクバッテリーのリコール費用を負担できないと発表してから1カ月足らずで起こりました。これらのバッテリーは、米国消費者製品安全委員会(CPSC)によって火災リスクがあると指摘されていました。

財務状況と破産申請の詳細

「Bicycle Retailer」によって最初に報じられたこの破産申請は、同社の本社があるシアトルに近いワシントン州東部地区連邦破産裁判所に提出されました。Rad Power Bikesは、推定資産3,210万ドルに対し、推定負債が7,280万ドルに上ると記載しています。e-バイク本体、スペアパーツ、アクセサリーなどの在庫は1,420万ドルと評価されています。

栄光からの転落:かつてのe-バイク市場のリーダー

この破産申請は、かつて米国のe-バイク市場を牽引していた同社にとって衝撃的な転落を意味します。マイク・ラデンボー氏が2015年に創業したRad Power Bikesは、ファットタイヤの「RadRover」やロングテールの「RadWagon」など、11種類以上のモデルを展開し、急速に成長しました。同社は主に2021年にかけて、Fidelity、Morgan Stanley、T. Rowe Priceといった大手企業から、総額約3億2,900万ドルもの資金を調達していました。

しかし、パンデミック後の自転車ブームの終焉とともに、状況は悪化しました。サプライチェーンの混乱、安全上のリコール、複数回にわたる人員削減、そして経営陣の交代が相次ぎました。

バッテリー火災リスクとリコール問題が決定打に

昨年、Rad Power Bikesは「重大な財政的課題」に直面しており、資金注入がなければ事業継続が危ういと述べていました。そして、CPSCによるバッテリー警告が決定的な打撃となりました。CPSCは、同社の旧型バッテリーが「予期せず発火および爆発する可能性がある」と警告し、31件の火災、うち12件は総額73万4,500ドルの物的損害を伴う報告があったと発表しました。幸いにも負傷者は報告されていませんが、同社は高額なリコール費用を負担できないと表明していました。

今後の展望:買収による再建の可能性

資産とブランドの買い手が見つかれば、Rad Power Bikesは生き残る可能性があります。例として、2023年に破産申請したオランダのe-バイクメーカーVanMoofは買い手を見つけ、ベルギーのCowboyもフランスの複数の自転車ブランドを持つ持ち株会社による買収交渉を進めています。Rad Power Bikesは、裁判所の監督下で債務再編を進める間も事業を継続し、顧客やベンダーとの協力関係を維持していくと、「Bicycle Retailer」への声明で述べています。


元記事: https://www.theverge.com/news/846201/rad-power-bikes-chapter-11-bankruptcy