背景:Billboardの新ランキングが波紋
YouTubeは、ビルボード(Billboard)が発表した新しい音楽チャートランキング算出方法に対し異議を唱え、同チャートへのデータ提供を停止する方針を明らかにしました。Billboardは、有料のオンデマンドストリーミングの比重を高め、広告付きの無料ストリーミングとの差をさらに拡大するようランキング方式を変更。この変更についてBillboardは、「ストリーミング収入の増加と消費者の行動変化をよりよく反映するため」と説明しています。
YouTubeの反発と公平なカウントの要求
しかし、YouTubeはこの新しい算出方式に納得していません。YouTubeは公式ブログで、「Billboardは時代遅れの方式を採用しており、有料ストリーミングを広告付きストリーミングよりも高く評価している。これは、今日のファンが音楽とどのように接しているかを反映しておらず、サブスクリプションを利用していないファンの膨大なエンゲージメントを無視している」と批判しています。同社は、「すべてのストリーミングが、サブスクリプションベースであろうと広告付きであろうと、公平かつ平等にカウントされること」を強く求めています。
ランキング変更の詳細とYouTubeの抗議
新しいランキング方式は、2026年1月17日に発表されるチャートから適用され、2026年1月2日〜8日のデータが反映されます。具体的には、Billboard Hot 100およびジャンル別アルバムチャートにおいて、有料/サブスクリプションと広告付きオンデマンドストリーミングの比率が2.5:1に調整されます。これにより、1アルバムユニットを構成するために必要なストリーミング数は、広告付きで2500回、有料で1000回となります(従来は広告付き3750回、有料1250回)。YouTubeは、この変更に対する抗議として、2026年1月16日以降、Billboardへのデータ提供を停止すると表明しました。
業界への影響と今後の展望
このYouTubeの決定は、単なる反発に留まらず、業界全体に大きな影響を与える可能性があります。もしYouTubeがデータ提供を停止すれば、同社のプラットフォームにおける膨大な音楽データがBillboardチャートに反映されなくなり、結果としてレーベルやアーティストがYouTubeでの音楽公開を軽視するようになるかもしれません。しかし、YouTubeはこの動きを「交渉戦術」と見ています。彼らは「チャート全体での公平な表現を達成することにコミットしており、Billboardと協力して元の状態に戻れることを願っている」とコメントし、あくまで対話による解決を模索する姿勢を示しています。
